それでも僕は、外科医をやめない

一回り以上、歳上の女性との食事は甘美だった

都会のど真ん中、神楽坂にて雨月氏は、ある妙齢の女性との会食の機会を得ました。生きることに雨月氏よりも経験豊富な彼女の前で、雨月氏は柄にもなく緊張をしたようです。エアポケットに入り込んだような夏の夕暮れの出会い。

こんにちは、外科医の雨月メッツェンバウム次郎です。

先日のこと。私は夕方の手術を終え、患者さんのベッドサイドを一通りぐるりと回ると急いで医局に戻りました。医局の私のデスクは、論文やら書類やら研修医がくれた夏休みの土産やらでいつものように雑然としています。白衣をざっと脱いでフックにかけ、スクラブ(上下揃いの色で医師がよく来ている手術着のような服です)を脱ぎ私服に着替えました。

暑いな……

とっくに地平線の下に落ちた日は、医局の窓から見える空を少しだけ赤く染めています。手土産をさっと鞄に入れ、病院でタクシーに飛び乗ります。病院に並んでいるタクシーはだいたいタバコ臭い上にナビが使えず運転も悪いのであまり使わないのですが、約束の時間が迫っていたため仕方なく乗りました。

「神楽坂まで」「かしこまりました」

珍しく丁寧な対応をしてくれたドライバーの方はまだ30代かと見紛うほど若い男性で、白い手袋をきちんとはめていました。対応が丁寧なら運転も丁寧。丁寧な仕事をする人はいいですね。

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それでも僕は、外科医をやめない

雨月メッツェンバウム次郎

高学歴エリート集団だと思われがちな外科医の世界は、実は、毎日人を切り刻んでる特殊な世界です。現役医師が語る外科医の世界は、とっても不思議な世界。毎日、さまざまな患者さんと接し、手術をするなかで感じたことを、ありのままに語ります。not...もっと読む

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コメント

titesu ☆ルートの取り易さは大事 3年以上前 replyretweetfavorite

_shiromal_ 甘美であるという意見には大賛成.しかし自分が年をとるごとにそれは難しくなるのであった.見てる: 3年以上前 replyretweetfavorite

sizukanarudon 雨月メッツェンバウム次郎@ugetsujiro https://t.co/D1Op21VXjf 30歳を過ぎてから結婚した女性はみんな「戻って」きた。 「私ね、こんな派手な感じだし人前に出る仕事だけれど、実は友達って二人しかいないの」 3年以上前 replyretweetfavorite

Ksr_5463_ いい文章。こんな風に、その場の雰囲気やらにおいやらが伝わりそうな文章が書けたらいいんですけどねぇ。 3年以上前 replyretweetfavorite