こんにちは、外科医の雨月メッツェンバウム次郎です。
先日のこと。私は夕方の手術を終え、患者さんのベッドサイドを一通りぐるりと回ると急いで医局に戻りました。医局の私のデスクは、論文やら書類やら研修医がくれた夏休みの土産やらでいつものように雑然としています。白衣をざっと脱いでフックにかけ、スクラブ(上下揃いの色で医師がよく来ている手術着のような服です)を脱ぎ私服に着替えました。
暑いな……
とっくに地平線の下に落ちた日は、医局の窓から見える空を少しだけ赤く染めています。手土産をさっと鞄に入れ、病院でタクシーに飛び乗ります。病院に並んでいるタクシーはだいたいタバコ臭い上にナビが使えず運転も悪いのであまり使わないのですが、約束の時間が迫っていたため仕方なく乗りました。
「神楽坂まで」「かしこまりました」
珍しく丁寧な対応をしてくれたドライバーの方はまだ30代かと見紛うほど若い男性で、白い手袋をきちんとはめていました。対応が丁寧なら運転も丁寧。丁寧な仕事をする人はいいですね。
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