翁 邦雄(京都大学公共政策大学院教授)インタビュー
「ゼロ金利下の金融政策では
政府との『関係』が重要」
1974年東京大学卒業、日本銀行入行。80年シカゴ大学留学、83年同大学でPh.D取得、日本銀行復帰。2009年より現職。
日本経済はデフレ脱却に向かいつつあるように見えるが、その足取りは重く、日本銀行に対する政財界からの批判は根強い。現在、政府は日銀に対して「大胆な金融緩和」を求めている一方で、「物価目標は共有してもらうが、手段は日銀に任せる」とも述べている。こうした政府の対応は、ゼロ金利制約下の中央銀行と連携する上で十分ではない。
ゼロ金利制約下の金融政策は、単独での景気浮揚力が極めて小さくなることがある。主要中央銀行が置かれているのはまさにそういう状況だ。そうした中、平時には行わないリスク資産の購入など、日銀が損失を出しかねない“大胆な緩和”を進めることもあろう。通常ならば日銀は独立した中央銀行として損失にも責任を負うが、それは政府との連携の一環で生じ得る損失なのだから、「政府が損失を補填する」という方針を明確にしなければならない。
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