週刊ダイヤモンド
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第12回】日銀内を活性化させた“外圧” ポスト白川体制に残された課題
不毛な消耗戦を終えた日銀は、一見すると安倍政権の要求を丸呑みしたかに思えるものの、ふたを開けてみれば“軌道修正”をなんとか図った様子がうかがえる。だが、課題は山積したままだ。
2%のインフレ目標を盛り込んだ政府・日本銀行の「共同声明」が、1月の金融政策決定会合で採択された。その直後、白川方明総裁は安倍晋三首相の元を訪れた。
「画期的な文書になった」(安倍首相)。これまで拒否してきた目標を確約させられた、まさに日銀が陥落した瞬間だった。
もしも日銀が安倍首相の要求をすべて呑んでいれば、この共同声明は「劇薬」になっていただろう。が、実は日銀は今回、極端な金融緩和に陥ることだけは回避した。
政府側は最後まで目標を「早期に実現する」(政府関係者)という表記を譲らなかったが、一方の日銀は、「リスク要因を点検」との文言に理解を得るなど、何とか政策運営の柔軟性を確保したからだ。政府のやり方は強引だったが、常識的な中身を落とし所とした事実上の“軌道修正”といえる。
もっとも、無理筋な安倍首相の要求は、日銀に重い腰を上げさせた側面もあったようだ。
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この連載について
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2%のインフレ目標を盛り込んだ政府・日本銀行の「共同声明」が、1月の金融政策決定会合で採択された。これまで拒否してきた目標を確約させられた、まさに日銀が陥落した瞬間。もしも日銀が安倍首相の要求をすべて呑んでいれば、この共同声明は「劇薬...もっと読む
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