新シリーズ『血と霧』刊行記念:多崎礼氏特別インタビュー(前篇)

多崎礼(たさき・れい)氏は、2006年に第2回C☆NOVELS大賞受賞作『煌夜祭』でデビュー。10周年となる本年、待望の新シリーズである吸血鬼×スチームパンク×探偵譚『血と霧1 常闇の王子』を刊行しました。ノベルス界屈指の語り部である著者は、どのようにこの新作を作りだしたのか? ほとんどインタビューに答えてこなかった著者に、デビューのきっかけ、読書歴からうかがいます。


■SFへの憧れ

──二〇一六年五月に『血と霧1 常闇の王子』が発売になりました。本誌初登場なので、まずはデビューのきっかけからうかがえますでしょうか。

多崎 きっかけは二〇〇六年に第二回C★NOVELS大賞をいただいたことです。この時の受賞作『煌夜祭』が私を作家にしてくれました。私は投稿時代がとても長くて、お恥ずかしいことに、初投稿からC★NOVELS大賞をいただくまでに十七年もかかっているのです。その間、様々な新人賞、いろいろなジャンルに挑戦してきましたが、実を言うとファンタジイはあまり得意ではありませんでした。投稿時代に書いていたのは、SF風味の現代ものがほとんどでした。

──レイ・ブラッドベリがお好きとのことですが、ファンタジイ、SFに限らず、小説・映画など創作物全般に関してお好きな作品・作家等教えてください。

多崎 子供の頃、夢中になったのがジュール・ヴェルヌ。子供向けの本でしたが『十五少年漂流記』が大好きでした。当時はシャーロック・ホームズよりもアルセーヌ・ルパンが好きで、『奇巌城』はいったい何度繰り返し読んだことか。あの謎解きがスリリングで、とにかく夢中になりました。私のSF好きはエドモンド・ハミルトンの《キャプテン・フューチャー》シリーズから始まりました。レイ・ブラッドベリにはまったのは高校時代。短篇を読むのも書くのも好きなのは、間違いなくブラッドベリの影響です。アシモフやクラーク、ジャック・フィニイも好きで、SFに対する憧れは今でも強いです。

 好きな映画はたくさんあるのですが、『アマデウス』、『モンスター』、『バタフライ・エフェクト』、『グラディエーター』、『墓石と決闘』、この六作品は不動の同率一位です。もの悲しさの中に一種の清々しさが残る、そういう物語が好きなのです。

──『煌夜祭』や『神殺しの救世主』もそうですが、多崎さんの作品にはSF的な印象を抱くことがありました。いま、その理由がわかった気がします。

多崎 ファンタジイ的な題材でも、理屈がないと嫌なのです。インチキでもトンデモでもいいから何某かの法則が欲しいのです。しかも私は、この手のインチキ理論を考えるのがとても好きで、つい物語に反映させたくなってしまいます。ファンタジイなのに、すぐ理屈を説明したくなるのは、あまりよろしくないことなのかもしれませんが。

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血と霧』刊行記念、多崎礼インタビュー

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『後夜祭』で衝撃的なデビューを果たしてから10年。多崎礼氏の新刊にあわせてインタビューを行いました。

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