こんにちは、きのコです。
前回、Aさんと遠距離恋愛をしていた頃のエピソードをお話しました。今回はAさんと一緒に暮らしはじめた頃のお話です。
彼にとってはつらく厳しい条件
九州と関東で、遠距離恋愛でお付き合いを始めた私たち。
付き合い始めた当初から、Aさんは「東京に出たい。きのコさんと一緒に暮らしたい」と言っていました。
でも、正直私は、同棲というライフスタイルにはちょっと抵抗をもっていました。
「せっかくポリアモリーであることが受け入れられて、オープンに他の人たちともデートしたり、幸せな毎日が始まったのに、一緒に暮らし始めたら他の人たちと会いづらくならないかしら。Aさんから、遊びに行くことを禁じられたり、束縛されたりしないかなぁ。そもそも、同棲するなら、彼の仕事やお金の面がきちんとしていないといけないな…」
そう思った私は、一緒に住むにあたって、彼に条件を出しました。
「もし、本当に一緒に暮らしたいなら、こちらでの転職先を見つけてから来て。ただし、正社員じゃないとダメ。こちらに来るまでの期限は1年。1年以内に転職できなかったら、関東に来るのはもちろん自由だけど、同棲はしない、ということにしたいの」
今思えば、関東には旅行でしか訪れたことがなく、転職に繋がる人脈もコネもない、そもそも転職活動をするのも初めてという彼に対して、厳しい条件だったかもしれません。
それからは、彼と一緒に転職サイトに登録して仕事を探したり、履歴書を添削したり、ビデオ通話で面接の練習相手になったりと、転職活動を応援する毎日が始まりました。
彼は九州で働きつつ、多い時は毎月のように休日を使って関東に来て、転職のための面接を受ける日々。
金銭的にも時間的にも、大変な苦労だったと思います。
結局、彼が転職先を見つけて私の家に引っ越してきたのは、お付き合いを始めてからあと数日で1年という、まさにギリギリのタイミングでした。
1年という期限を頑として譲らなかった私のために、本当に頑張ってくれたAさん。
「この人なら信頼できる。二人暮らしも、きっとうまくいく…!」
そんな期待に胸が熱くなりました。
まるでマリッジブルーのような憂鬱な日々
そして、いよいよ始まった二人暮らし。
一緒に起きて、一緒に朝ごはんを食べて、お互いの会社に出勤。夜は2人でカレーを作ったり、お酒を飲みながらDVDを観たり。
楽しい日々でしたが、一方で私は、少しずつ息苦しさを感じるようになっていました。
合意の上で始めた同棲生活とはいえ、自由気ままな一人暮らしが突然終わりを迎えてしまったことは事実。彼と過ごすのも楽しいけれど、時には自分だけの時間もほしいし、他の人たちとのデートもしたい、友達とも遊びたい。デートのあと「泊まりに来る?」と気軽に誘えなくなったことにもストレスがつのっていきました。
時おり他の人とデートに出かけて、ハッピーなほろ酔い気分で家に帰ると、Aさんは不機嫌な顔をして待っています。「帰りが遅い」と文句を言われてケンカになることもありました。
この頃の彼にはまだ「一緒に暮らせばきのコさんは自分のものになるし、他の人と付き合うこともなくなるだろう」という気持ちがあったといいます。
私は、Aさんのことは愛しているけれど、嫉妬や依存を向けられたり、自分の自由が制限されることはやはり苦しかったのです。
私が好意を寄せてよくデートを重ねていた知り合いの1人から、「同棲が1ヶ月続かない方にディナーを賭ける」と笑えない冗談を言われたのもこの頃。
「こんな窮屈な生活、いつまで続くのだろう。やっぱり、ポリアモリーの私には1人だけと同棲って向いてないのかなぁ…」
二人暮らしを始めて数週間後には、私はまるでマリッジブルーのように、憂鬱な溜息ばかりつくようになっていました。
少しづつ変わっていった彼の気持ち
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