あなたは「この考え方」を受け入れられるか?
清水克衛(以下、清水) 東日本大震災のときは、日本人が「公」の精神を見せましたよね。暴動も起こさず、みんなちゃんと並んで順番を待つとか。その姿を見た外国人から驚いたという話も聞こえてきました。ああいう非常事態が起こらないと、日本人の公共心は出てこないんでしょうか。
小林よしのり(以下、小林) あのときは、被害があまりにも大きかったからね。わし自身、国が滅びるんじゃないかというほど強い衝撃を受けて、その勢いで描いた『国防論』なんかは、ちょっとトチ狂ってるところもあった(笑)。でも日本人にはすぐに諦観する感覚があるから、わりとすぐもとに戻りましたよね。欧米人は自然に対抗するんだけど、日本人は大昔から、自然災害に襲われて壊滅しては、またそこに家を建てるということをくり返してきた。災害が起きたときは「ああ、やっぱ自然には負けるわ」と思うんだけど、「まあ、次はしばらく来ないだろう」と思って、復旧するわけ。
清水 震災で出てきた日本人の公共心は、一時的なものだったんでしょうか。