早くも年内ベストムービー? ひぐたけが選ぶ2016年上半期ベスト3!

2016年ももうすぐ7月。上半期も終了ということで、作家・樋口毅宏さんが厳選した今年の映画上半期ベスト3を発表します。
小沢健二、Great3の復活を、そして「いいとも!」の終わりを予言したと噂の作家・樋口毅宏さんのサブカルコラム。ロックと文学と漫画、そしてプロレスに一生を決定づけられた樋口さんの衝動をお楽しみください。


 6月も終わりということで、今年の映画の上半期ベスト3を発表します。

 まずは、挨拶代わりに去年と一昨年のベスト10を。(共に拙著『さよなら小沢健二』より)

2014年 ひぐたけが選ぶ映画ベスト10
1位 『ゴーン・ガール』
1位 『フューリー』
1位 『インターステラー』
4位 『複製された男』
5位 『her /世界でひとつの彼女』
5位 『パンク・シンドローム』
5位 『ザ・レイド GOKUDO』
番外 『深川通り魔殺人事件』(テレビ朝日『月曜ワイド劇場』にて1983年7月25日放映)

 1位はこの3本で。この流れで観たことは大きい。この3本が立て続けに公開されたのは偶然ではない。映画の運命だ。アメリカは嫌いだけど、アメリカ映画は大好き! アメリカ映画バンザイ!

2015年 ひぐたけが選ぶ映画ベスト10
1位 『二重生活』(中国)
2位 『セッション』
2位 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
4位 『バードマン』
4位 『プリデスティネーション』
4位 『サンドラの週末』
4位 『グリーン・インフェルノ』

 ロウ・イエ監督の『二重生活』は、説明的なセリフばかりの日本映画を酷評しておきながら、いつしかそれに慣れきっていた自分を一喝する大傑作だった。他の作品は順当だと思うが、『プリデスティネーション』がそれほど話題にならなかったのが不思議。


 それでは2016年上半期ベスト3の発表です。

『裸足の季節』(2015年/フランス、トルコ、ドイツ)

あらすじ:イスタンブールから1000km離れたトルコの小さな村に住む、美しい5人姉妹。10年前に両親を事故で亡くし、いまは祖母の家で暮らしている。古い慣習と封建的な思想のもと一切の外出を禁じられ、一人また一人と祖母たちが決めた相手と結婚させられていくが

 この映画に関しては月イチレギュラーで連載している「週刊プレイボーイ」の映画評から転載します。

大林宣彦と宮崎駿も絶賛間違いなし

『ヴァージン・スーサイズ』路線かと思っていたら、そんな甘い絶望とは程遠かった。主人公の少女たちは現代のジャンヌ・ダルクであり、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のフュリオサそのもの。本作の優れている点は、正しいテーマとストーリー展開だけでなく、少女たちのあざとい見せ方。そりゃもう小憎たらしいほど。たとえ「ロリコン変態野郎!」と罵倒されても猛プッシュしたい。

 もうひとつ。新聞に載せる映画の広告に僕のコメントを使ってもらった。

 なんと僕の隣は大女優、岸惠子さんですよ。

 話は逸れますが、僕が岸惠子さん主演映画でダントツに好きなのはショーケンと共演した『約束』です。

 学生時代に独学で脚本の勉強をしていたのですが、今でも忘れられないのは「本当に伝えたいセリフはひとつだけ」という教え。

 そのお手本のような映画です。
 若い方はDVDを探して、ぜひ観てみて下さい。地味な映画かと思いきや、ぶったまげるよ。

『Daydreaming』(2016年/アメリカ)

 レディオヘッドの新作MVで、監督はポール・トーマス・アンダーソン。

 レディオヘッド側はこのMVをフィルムに焼いて、世界中の「ここは!」と思った世界中の映画館に送り付けたのだが、日本ではわかっているところでは、早稲田松竹とシネマヴェーラ渋谷だという。
 早稲田松竹なんて二番館だよ? チョイスが憎いね。
 京都に引っ越した今もどんな番組をかけてるかチェックしている、思い入れのある劇場だよ。

 というわけで、これは紛うことなく映画扱いにします。

 何回観てもうっとり。

 トム・ヨークが何を探しているのか最後までわからないし、こちらとしてはむしろ、ずっとわからないでいたい。モヤモヤし続けていたい。

 ラスト、トム・ヨークは洞穴で呟く言葉は逆回転になっている。正常な回転に戻すと、
 「I’ve Found My Love」
と、トムは言っているのだという。
(これ、でもリスニングする人によって違うらしい。CDの中に歌詞カードがないので欧米人の間でも異なる。洋楽あるあるですね)

 えっ。てことはストーリーも時間軸を逆にして観たほうがいかのかな?

 僕みたいに考えている人はとっくにいて、ほら、とっくにリバース版を作っている人がいるのよ。

 でもこれを観てもやっぱりよくわからないんだけどね。

 ポール・トーマス・アンダーソンはどうしても『ブギーナイツ』『マグノリア』の2作しか熱く語れないけど、これはトム・ヨークのぽっちゃりしたお腹同様、愛せますね。

 さて、ここからが本番です。

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完全保存版! サブカルクソ野郎の人生全コラム

さよなら小沢健二

樋口 毅宏
扶桑社
2015-12-13

この連載について

初回を読む
青春の終わりとは大好きなバンドが解散することである

樋口毅宏

小沢健二、Great3の復活を、そして「いいとも!」の終わりを予言したと噂の作家・樋口毅宏さんのサブカルコラムがスタート! ロックと文学とプロレスに生涯を決定づけられた樋口さんの衝動をお楽しみください。

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コメント

mugikura ほほう……。 3年以上前 replyretweetfavorite

Hadashi_movie cakes @cakes_news に本日アップされた樋口毅宏さん @higu_take の上半期ベスト3映画を選ぶコラムでも『裸足の季節』をご紹介して下さいました!https://t.co/4J1DpGGd4I #裸足の季節 https://t.co/3IRo7hJLfX 3年以上前 replyretweetfavorite

consaba 樋口毅宏「そんな筋金入りのアンチ黒澤清の僕ですが、この『クリーピー』はどうにもこうにも素晴らしかった。まず今年の邦画ベストワンは譲らないと思う。」2016年上半期ベスト3!| 3年以上前 replyretweetfavorite

punchdrunker クリーピーみたい 3年以上前 replyretweetfavorite