ここは東京西新宿。雑居ビルの一角に、壮年の淑女御用達の喫茶店ピノアールがありました。
重厚で落ち着いた店内には見慣れた男の姿が一人。ドブ板メディカル株式会社営業企画部の馬路出(マジデ)課長です。馬路出課長は、30代で課長になったマジで仕事ができる人なのでした。
馬路出課長「久しぶりだな。同窓会ぶりじゃないか?」
そう声をかける馬路出課長の向かいに座るのは、
弁茶阿さん「そうだな」
馬路出課長の大学時代の同窓生、弁茶阿(ベンチャア)さんです。弁茶阿さんは、褐色の肌に青いストライプのスーツが良く似合い、全身から謎の自信が放たれている、そんな男でした。
馬路出課長「それで今日はどうしたんだ。急に呼び出して」
弁茶阿さん「実は俺、2年前に起業してさ」
馬路出課長「おお、すごいじゃないか。何してるんだ?」
弁茶阿さん「フィンテック(※)系のスタートアップだよ」
馬路出課長「フィンテック系のスタートアップ?」
※フィンテック(Fintech):ファイナンス(Finance)とテクノロジー(technology)を合わせた造語。IT技術を使った新しい金融サービスや、金融IT分野のベンチャー企業のことを指す。
聞きなれない言葉に、思わず馬路出課長は聞き返しました。
弁茶阿さん「まあつまりは、ただのベンチャーなんだけどさ。来年、上場しないかって声がかかって」
馬路出課長「じょ、上場。すごいじゃないか」
弁茶阿さん「ああ。でも急激に成長したせいで人材不足で困っているんだ。そこで、馬路出」
弁茶阿さんは、きりっとした顔で馬路出課長と向かい合いました。
弁茶阿さん「ぜひうちの会社に来てくれないか?」
馬路出課長「え、ええ~!!!?」
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