男色は淡い水!?
前回の源頼朝編、前々回の藤原頼長編で貴族と武士の男色やその違いについてお話しましたが、もう一度ざっくり整理してみると、下記のようになるかと思います。
貴族:
- 情愛は淡泊で体だけのつながりの場合が多い
- 年長者と少年の上下関係がはっきりしている
- 政敵を従属させたり自陣営に取り込むために、ビジネス感覚で男色行為を行うことがある
- 愛人同士かばい合い守り合うという精神は希薄で、状況が悪くなるとすぐ相手を見捨てる
武士:
- 体よりもまず精神的なつながりが重視される
- 年長者と少年の関係はあくまでフラット
- 有力な家臣団を作る目的での男色行為ならある
- 念者は少年を庇護し少年は念者に尽くさなくてはならず、状況が悪くなってもお互い死ぬまでかばい合う
総じて纏綿たる情緒を大切にした貴族の方が実はドライで、現実主義のはずの武士の方がウェットで情熱的であったと言うことが出来るのかもしれません。
江戸時代、男色・女色を比較して優劣を論じた、『色物語』では女色のことを甘い酒、男色のことを淡い水と表現していました。子供が出来るわけでもなく、少年の盛りは3~4年ほど、何より男同士の付き合いだから義をたてるのがモットーで、男と女のようにグダグダ続くことはないという考えからです。
しかし、何をおっしゃいますやら。その淡いはずの水に操を立て、2つとない命をかけた美少年は、いくらでもいたのです。
今回は「美少年に血と刀はよく似合う」と題して、男色にまつわる忍傷事件を特集したいと思います。
『葉隠』に書かれた男色
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