フロリダの銃乱射事件で揺れる大統領選

6月12日、フロリダ州で49人が死亡し、53人が負傷するという銃乱射事件が起こりました。米史上最悪の銃乱射事件を巡り、トランプとヒラリーは真逆ともいえる声明を発表しました。
アメリカ在住の作家・渡辺由佳里さんによる、アメリカ大統領選のやじうまレポートをぜひお楽しみください。

6月12日の早朝、フロリダ州オーランドの高級ゲイバーとして有名なナイトクラブPulseで銃の乱射事件があり、49人が死亡、53人が負傷し、アメリカ史上最悪の乱射事件になった。

閉じ込められた場所から携帯で母親と最後のメッセージを交わしあった犠牲者の「Mommy I love you」というフレーズを見るたびに、涙があふれる。誰にとっても身近に感じる辛い出来事だった。


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警察との銃撃戦で死んだ犯人のオマール・マティーン(29歳)は、襲撃の途中で自ら911(日本の110に匹敵する救急電話)に電話をかけてISISへの忠誠を語った。イスラム教過激派だったことが疑われているが、まだ詳しいことはわかっていない。両親はアフガニスタン出身の移民だが、本人はニューヨーク生まれの生粋のアメリカ国民だ。

事件に対するトランプの連続ツイート

ドナルド・トランプは、事件を知るやいなやすぐさま次のような連続ツイートをした。

「フロリダで恐ろしい事件があった。犠牲者と家族のために祈る。いつになったら(こういう事件が)なくなるのか? 我々がもっとタフになり、賢くなり、警戒するようになればなくなるんじゃないか?」

「イスラム過激派によるテロについて僕の意見が正しかったことを称賛してくれてありがとう。称賛はいらない。求めるのはタフさと警戒心だ。我々は賢くなくてはならない!」

「オバマ大統領はようやく『イスラム過激派』という言葉を使うのかな? もし使わないのなら、面目を失って、即座に辞任するべきだ」

「オーランドの犯人はナイトクラブの客を殺しながら"Allah hu Akbar!(神は偉大なり)"と叫んだという報道。ロサンゼルスのゲイパレードの近くでライフルを持っている2人目の男が逮捕された」

「オーランドで起こったことは、ただの始まりにすぎない。わが国のリーダーシップは脆弱で効果的ではない。僕はそれを指摘し、(イスラム教徒の入国)禁止を求めた。タフでなければならない」

また、フォックスやNBCのテレビ番組で、トランプは「(オバマ大統領は)何が起こっているかよく理解していないか、あるいは、誰よりもよく知っている」と、オバマ大統領がイスラム過激派のテロを知っていながら、わざと対策をしない。それには理由があるのではないか、という陰謀説も匂わせた。

そして、ニューハンプシャーでは次のような「反テロ」演説を行った。

「殺人者、私はあえて名前を言わないが、の両親はアフガニスタンで生まれ、アメリカ合衆国に移住した移民だ。父親は、自分たちの過激的な見解に合意しない者を殺すアフガニスタンのタリバンを支持する文章を書いている。アフガニスタンの大統領に立候補する意思も口にしていた。
結論を言えば、この殺人者がアメリカにいた唯一の原因は、彼の家族がわが国に移り住むことを許したことにある。
それが事実だし、その事実について語る必要がある。
機能不全のわが国の移民制度では、誰の入国を許可しているのか知ることはできないし、国民を守ることさえ許してくれない」

「たった1人だけでもこれほどひどいことを引き起こせるというのは、オーランド(の事件)を見れば明らかだ。これが、大人数の集団だったらどうなることか、想像できるか?
我々の大統領は、まったく自分が何をやっているかわかっていない。彼は大統領として国民の期待に激しくそむいた。彼の指導のもとでは、この状況は良くはならない。悪くなるだけだ」

「(ヒラリー)クリントンは、女を奴隷化し、同性愛者を殺すイスラム過激派テロリストをわが国に注ぎ込もうとしている」

このスピーチに対して、2008年の共和党指名大統領候補ミット・ロムニーの参謀だったスチュアート・スティーブンスはこう反論ツイートした。

「トランプとオーランドの殺人者のどちらもニューヨークで生まれ、どちらの母親も移民だった」

「トランプの子供のうち4人の母親たちも移民だ」

そして、「阿呆が大統領選に出馬している」と締めくくった。

共和党サイドでも、スティーブンスのような政治のプロたちは、トランプのツイートや演説に強く反論している。しかし、ツイッターやフェイスブックの反応を見ると、支持者たちは、「久々に大統領らしい演説を聞いた」、「ポリティカル・コレクトネス(政治的な正しさ)のために誰も言わなかった真実を、よくぞ言ってくれた」、「アメリカ国民を優先して守ってくれるのはトランプだけ」という好意的な反応が多いのだ。

銃規制を打ち出すヒラリーの発言

ヒラリーの対応は、トランプとは真逆のものだった。

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アメリカ大統領選、やじうま観戦記!

渡辺由佳里

みなさん、2016年は4年に一度の祭典、オリンピック!ではなく、いいや「アメリカ合衆国大統領選挙」の年です。世界情勢にもつよい影響をおよぼす、オバマ大統領につづく大統領は誰なのか? アメリカ在住の作家・渡辺由佳里さんが、このビッグイベ...もっと読む

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コメント

pleocen やはり「この人は十把一絡げに取り扱わなければ(それ以上複雑だと)理解できない程度の脳みそしか持ちあわせていないんだろうな」という以外の感想が出てこなかった。 @YukariWatanabe https://t.co/5KBj8qMBwV 約1年前 replyretweetfavorite

000portia000 読んでる。6/10のニューズウィークの記事もとても面白かった。今、大統領選関連で1番楽しみな連載。 約1年前 replyretweetfavorite

Fourhouseorz ヒラリー力強いな。自民党の連中にもこういう事をハッキリ言える様になって欲しいが。そういうのが「真の独立」とやらへの近道だと思うよ。 約1年前 replyretweetfavorite

YukariWatanabe 今年の #アメリカ大統領選 では、銃と移民が大きなテーマになる。 約1年前 replyretweetfavorite