水嶋ヒロの言動

今回のテーマは、水嶋ヒロ。歌手の絢香との結婚報道が話題になったり、本名で書いた小説が文学賞を受賞したり、雑誌の編集長になったり、折々で注目を浴びる彼ですが、先日「アルバイトEX」などを手がける株式会社じげんのCLO(Chief Lifestyle Officer)に就任することを発表しました。世間をざわつかせ続けている彼の言動を、我々はどう受け止めればいいのでしょうか。

「模索途中の過剰主義」の服とは

背後から「えっと、今日はどういう髪型にしましょうか?」と尋ねられる度に体が硬直する。具体的な髪型を提示することができないので、精一杯の半笑いで「EXILEの下部組織にいそうな髪型はイヤですね。あと、ハツラツとした挨拶を繰り返すベンチャー企業にいそうな、ひとまず両サイドを刈り上げてみた、みたいな髪型もイヤですね」とNGだけを伝えると、今度はあちらが硬直してしまう。気を利かせたアシスタントさんが『男のヘアカタログ』みたいな雑誌を持ってくるのだが、「そもそもこのモデルさんたちの濃い顔にピントが合って髪型に目がいかないですよね〜」と小粋なトークを繰り出したつもりが、「この減らず口がまだ続くのか」と先方の硬直が更に強まる。結局、「長くなったので短めに」というお願いにとどまり、最初からそれだけ言えばいいのに、と鏡ごしの目が語る。

髪型にしろ服装にしろ、いわゆるファッションの最先端で投じられる小難しい言葉が苦手で、具体例を挙げれば、水嶋ヒロとスタイリストとの間で繰り広げられたこういう対話である。スタイリストが「今回のテーマの〝ポストモダン〟は前回のテーマだった〝モダニズム〟っていう近代的に整理されたものへの否定から始まる運動のこと。その移り変わる瞬間の新しい空っぽの部分を出したかった。(中略)模索途中の過剰主義というか」と投げると、水嶋は「試行錯誤してる、もがいている感じ」と、すぐに納得する(水嶋ヒロ『HIROMODE』)。見てくれに向かう「模索途中の過剰主義」で共鳴できる感じは、こちらの「長くなったので短めに」という妥協とまったく相反するやり取りに違いない。日頃、それなりに異論や対論を受け止めているつもりなのだが、ファッション方面の小難しい言葉に対しては、苦手意識で硬直してしまう。

「イギリスならジンだな。イギリスジン、なんちゃって」
この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

cakesの人気連載「ワダアキ考」、5人の書き下ろしを加えてついに書籍化!!

この連載について

初回を読む
ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜

武田砂鉄

365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

megamurara モダニズム、ポストモダン。 3年以上前 replyretweetfavorite