週刊ダイヤモンド
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第9回】副作用——シャープ危機を助長した温床 BISが警告する四つの弊害
日銀の超金融緩和策による円安と低金利環境が、シャープ危機の一因となったという見方は少なくない。超緩和策が国内企業に及ぼす副作用については、12年6月に発表されたBIS(国際決済銀行)の年次報告書に詳しい。先進国の超緩和策がバブルを発生させる危険性を04年頃には指摘していたBISは、長引く異例の超緩和策が引き起こす四つの弊害をこの報告書で指摘している。
シャープが約4000億円を投じて大阪府堺市に新工場を建設すると発表したとき、当時(2007年7月)の日本銀行のボードメンバーの1人は「不安を覚えた」と明かす。日銀の超金融緩和策による異常な円安が、彼らを“過信”させる一因となってしまってはいないか、というのである。
もちろんシャープの過剰投資は超緩和策だけが理由ではあるまい。ただ、それが一因となって生まれた心地よい円安と低金利環境が、真の問題を覆い隠し、国内企業の生産性向上などによる競争力強化の努力を鈍らせたとの見方は少なくない。
こうした超緩和策の副作用については、12年6月に発表されたBIS(国際決済銀行)の年次報告書に詳しい。先進国の超緩和策がバブルを発生させている危険性を04年頃には指摘していたBISは、長引く異例の超緩和策が引き起こす四つの弊害をこの報告書で指摘している(表参照)。
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この連載について
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安倍政権の言う「物価目標2%」が民意だというなら、それは聞き捨てならない。国民の多くはそれを求めていない上、大きな副作用も孕んでいるからだ。金融緩和には、誤解と限界がある。 本誌・新井美江子、池田光史、中村正毅、前田 剛 ※この連載は...もっと読む
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