日本史最大のスキャンダル!?源頼朝はお稚児さんだった!?【前篇】

源頼朝の雄々しい姿を描いたものとして有名な神護寺の肖像画。しかし、実はそれは頼朝のものでなかった!? 取り違えのきっかけとなった神護寺の記録を読み解いていくと、頼朝の知られざる幼年時代の秘密が浮かび上がる。
劉邦の宦官』や『九度山秘録』で話題の、新進気鋭の歴史小説家・黒澤はゆまが、歴史のなかの美少年を追って世界中を飛び回る人気コラム!

日本一有名な肖像画のミステリー

歴史は常に、新たな発見によって更新され読み替えられていくものです。

特に肖像画の面でその傾向は顕著で、お馴染みのでっぷり太った武田信玄像も、ざんばら髪が雄々しかった足利尊氏像も、今では別人だったということが分かっています。最も衝撃的だったのが、神護寺蔵の源頼朝像で、涼しげでかつ意志の強そうな容貌が印象的だったあの絵は、表現様式、衣装風俗などの分析から実は南北朝時代に描かれたものとされ、人物は尊氏の弟、足利直義であったという説の方が有力です。

しかし、謎は残ります。

もともとあの絵が源頼朝に結び付けられたのは、『神護寺略記』に以下のような記録が残っているからでした。

一、仙洞院

後白河法皇の御影が一つ、その周りを内大臣(平)重盛卿、右大将(源)頼朝卿、参議右兵衛督(藤原)光能卿、左衛門佐(平)業房の肖像が取り巻いている

右京権大夫(藤原)隆信が描き奉献したものである

藤原隆信は、鎌倉時代に画家として名を馳せた人物です。「日本仏教と男色」の回で、勝手に私が男色家として名を馳せさせた宗性上人の祖父でもあります。

仮に『神護寺略記』の記事とこれまで頼朝像と私たちが思っていた例の絵とのつながりが否定されたとしても、この文の言う後白河法皇を取り巻く形で奉献されたという頼朝の肖像画が実在したか否かという問題についてはまた別の話です。

そして、もし略記に記録された絵が実在したとすると、奇妙なことに気付きます。

後白河法皇の肖像を取り巻いていたという、平重盛、藤原光能、平業房は皆、法皇の側近で大変重用された人たちなのです。清盛と後白河法皇の仲が本格的にぎくしゃくしだしたのも、重盛が死んでからだったりします。

しかし、頼朝は後白河法皇を恫喝して守護・地頭などの権利を得て、鎌倉に武家政権を樹立した人物。むしろ後白河法皇の宿敵といってもよい存在です。それが何故、他の近臣たちと一緒に描かれているのでしょうか?

この疑問を深堀りしていくと、源頼朝と後白河法皇、2人の秘められた関係を示唆するある重大な事実にぶつかります。

そして、ひょっとしたら、この事実こそが略記に記録された絵が今見つからない原因だったのかもしれません。見つけた人にとって大変不都合な姿で頼朝が描かれていた……

実は、平重盛、藤原光能、平業房の3人は後白河法皇の男色の相手をつとめた人物なのです。平安時代に似せ絵というと、「随身庭騎絵巻」や「稚児絵巻」など、男色の相手を描いたものが多いのですね。

また、藤原隆信は後白河法皇の晩年の近臣であり、自身も男色に詳しい人物でした。法皇の夜の世界における遍歴に精通しており、院が愛した人物を追善供養として一緒に描くことが出来たとしてもおかしくない人です。

そして、頼朝の人生を詳細にたどっていくと、そうした接触があった可能性のある時期が確かに存在します。

今回は頼朝の知られざる幼年期と共に、前回ご紹介した藤原頼長と並んで貴族政治のトリを務めるのにふさわしい異色の天皇、後白河法皇の人生を物語っていきたいと思います。

鬼武者という少年
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コメント

PPMRock さっきこの記事見つけてその話出てたから置いときますね。 まあしかしあれは足利兄弟でいいと思うよ 4年以上前 replyretweetfavorite

persian_pardeis 「院政って…あれっ、結局すべて男色が原因で解決出来るんじゃね?」と研究者が発見したのならきっとそうなのです 4年以上前 replyretweetfavorite

arigatoukimi これ面白かった!!→  4年以上前 replyretweetfavorite

hayumakurosawa cakes記事更新しました!今回取り上げるのは、五味文彦教授も「院政期政治史断章」のなかで触れておられる「源頼朝=後白河法皇のお稚児」説。様々な傍証からそれは決して絵空事ではない!?是非是非ご覧くださいませ~ https://t.co/caSOxdvBZI 4年以上前 replyretweetfavorite