A.飛行機。
仕事も家事も、父親としての役割も完璧にこなし、女性にもそこそこモテるという完璧超人ぶりを誇る荒岩。そんな荒岩にも、長年苦手してなかなか克服できないものがある。
それは、飛行機。
とはいえ荒岩が勤める金丸産業は九州だけでなく全国に支社がある大企業。東京へ出張することもある。そんなとき荒岩はどうするのかというと、朝6時台の始発の新幹線に乗り、6時間以上かけて東京へ向かうのだ。
○1巻 cook.9 P124~125 ちなみに網棚の上のクーラーボックスには、東京支社のメンバーにふるまうためのトンコツラーメンの麺+スープ。スープはもちろん荒岩の手作り©うえやまとち/講談社
上司の大平課長にも「また新幹線? 飛行機で行けばいーのに」と言われるほど。そう言われた荒岩は「いえっ飛行機はどーもにがてでして……」と率直に自分の弱みを認めている。
あの、滅多なことでは他人に弱みを見せない荒岩が……!
それほどまでに飛行機が苦手な荒岩は、当然翌日も早起きして朝イチの新幹線で帰るはずだった。 しかし、突然のピンチが訪れる。前日久々に会った東京支社のメンバーたちと飲み上げて寝過ごしてしまった荒岩は、飛行機で帰らざるをえなくなってしまう。
そのときの荒岩のヘロヘロぶりは、いつもビシッとしている荒岩の姿からは想像できないほどだ。
ちなみにこの時期いわゆる「小悪魔期」だった夢子は荒岩の飛行機が苦手なことはもちろんリサーチ済み。昼休みにひとり福岡空港に迎えにくるという大胆な行動に出ている。あまりに苦手な飛行機に疲労困憊していたために荒岩が夢子に倒れかかり、その後、肩を貸すという体で腕組みをするというラッキーに恵まれている。夢子の「してやったり」の表情をご覧いただきたい。
○1巻 cook.9 P136 夢子にとってはいわゆるラッキースケベというやつだろうか©うえやまとち/講談社
しかし荒岩への試練はこれだけにおさまらない。金丸産業は国際的なプロジェクトも多く、海外出張を命じられることもある。荒岩はデキる男ゆえに飛行機から逃れることはできないのだ。さすがに海外へは新幹線や船では行けるはずもなく、荒岩は渋面を作って飛行機に乗る羽目になる。
○14巻 cook.132 P36 余裕の両脇ふたりと荒岩のコントラストをお楽しみください©うえやまとち/講談社