北関東に住む山本伸江さん(仮名)が友人から「更年期障害によい」と聞いて、健康医学社の健康器具や黒酢を通信販売で購入し始めたのは2006年ごろのこと。
それから約1年後、同社からダイレクトメール(DM)が次々と送られてくるようになった。
内容はなぜか「1口100万円で毎年5%の配当を支払う」という投資の勧誘であった。
当初は気にも留めなかったが、母親から「老後のために蓄えた資金を、どこか利子のいいところに預けたい」と相談されたことをきっかけに応募した。
出資したのは「鉱泉権」(写真)。同社が保有する工場内の湧水などの利用権を取得する見返りに、健康医学社はその鉱泉権使用料として年利5%の配当を支払うという。契約期間は1~3年間。満期が来れば健康医学社が鉱泉権を買い戻し、出資者には元本が戻ると言われた。いつでも解約できる安心感もあり、山本さんは母親と自分の分を合わせて1800万円出資した。
「創業者生誕95周年」「新社長就任記念」「創立40周年」などとうたい、様々な出資名目でカネを集めた
だまされたと気付き始めたのは10年秋のこと。一部を解約しようとしたところ、「解約者がたまたま集中したので待ってくれ」「いずれ連絡する」「半年先から分割返済する」などといって、会社側は解約に応じなかった。ようやく元本の分割返済を約束したが、東日本大震災を機に支払いが停止した。
「健康医学社は全国に会員組織があるし、歴史のある会社。まさかだまされるとは思わなかった」と山本さんは落胆する。
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