ヒップホップを選んだんじゃなくて、ヒップホップに選ばれた
柴那典(以下、柴) 前回に引き続き、みんなの思春期の写真を見ていきたいんですが、Rさんはどんな写真ですか?
R−指定(以下、R) これが中学生の時撮ったやつですね。
大谷ノブ彦(以下、大谷) わー、イケメン! モテたでしょ!?
R いや、ぜんぜんまったくです。わかりやすくニューエラのキャップをかぶってるという。
DJ松永(以下、松永) 俺、こいつが今日これ持ってくるって聞いて、「あ?」と思って。
一同 爆笑
R いやいやいや、それがそんなことないんですよ。昔の写真をみせると「さわやかそう」「モテそう」とか言われるんですけど、僕ものすごく運動神経悪かったんですよ。
大谷・柴 あ~。
R それがコンプレックスだったんです。運動神経が悪いって小学校とか中学生の男子の中では、終わりを意味するじゃないですか。どんどんイケてない側に入れられるようになる。
大谷 わかるわかる。
松永 たしかに。体育祭も嫌だったけど、球技大会もイヤだったもん。俺、フォームが超絶ダサいんですよ。なんでみんなの前で自分のブサイクをさらけ出して笑われないといけないのかって不満ダラダラだった。
柴 でも松永さんサッカー部だったんでしょ?
松永 7年間サッカーやってきたんですけど、中3の最後の試合なんて、ベンチにさえ入れず、フィールドの外で新入生と保護者と一緒に応援してたんですよ、ユニフォームもなくて体育着で。
R 僕も一緒で9年間バスケやってきたんですけど、運動神経が悪いから試合に出れなかったんですよね。バスケももともと親に勧められて始めたし。
大谷 9年間も! 長いね。途中でやめようと思わなかったの?
R その時って学校がすべての世界だから、部活をやめたら、学校での自分の立ち位置もなくなるし、やめるっていう考えがなかったんですよね。
松永 部活がすべての小さい世界だったからね。
R でも、初めて自分から「これやりたい!」って思って始めたのがラップだったんですよ。高校2年生の時にラップ一筋で行こうって決断して、先生や仲間に「部活やめます!」って宣言しました。
大谷 みんな驚いてなかった?
R うん。みんな引き止めてくれたんだけど、俺はラップをやりたいって。今でもその仲間は仲良くて応援してくれてますね。
大谷 それで今もヒップホップやってるわけじゃん。それってR-指定さんが、ヒップホップ選んだんじゃなくて、ヒップホップがR-指定さんを選んだんだよね。松永さんのサッカー部やめて学校もやめた話もそうだけどさ、Creepy Nutsは使命のバトンをもらったんだよね。
R もしそうだったらめちゃくちゃうれしいですね。これからはそう言おうかな(笑)。
夢中になれるものを持つのが一番強い
柴 でも、今だからそう言えるけれど、思春期の頃はそんなことには気付いちゃいないんですよね。過渡期の真っ最中だし、劣等感もあるし。
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