​SNSにアップされた料理の写真

我々が日常で何気なく食べている食事や、飲んでいるお酒。小説や映画にも当たり前のように描かれていたりしますが、そこには国柄や世代、シチュエーションなど、さまざまな情報が現れています。それはもちろんSNSにアップされた写真でも同じ。そんな目で見る料理やお酒の楽しみ方を、bar bossa店主・林伸次さんが紹介します。

本や映画に出てくる料理やお酒

いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

僕は職業柄、映像や本の中に出てくる料理や飲み物がすごく気になります。例えば、世界中には本当にたくさんのお酒があるはずなのですが、テレビや映画の中で普通の若者が飲んでいるアルコールをよく観察するとほとんどがビールなんですよね。もちろん映画の中でカクテルやワインが登場することもありますが、そういう場合はあえてお洒落なレストランで食事をしているという意味のシーンの場合が多いように思います。

そういう世界の普通の若者の「食意識」みたいなものも興味がありまして、以前ロンドンの労働者階級の若者の夕食シーンを見かけました。その彼、ほとんど具材が入ってないパスタを山盛りにして食べて、それで夜の街に遊びに繰り出していきました。なるほど、そういう感じなんだなあって思いました。

あるいは、沢木耕太郎がエッセイで「お酒は安ければ安いほど良い」という意味のことを書いていたことがありました。『深夜特急』なんかで見る旅のスタイルから考えると納得な考え方ですよね。僕も若い頃は「そうだよなあ」と思っていたのですが、この仕事を始めてから、農家や職人の方が丹精込めて手間ヒマかけて作ったお酒はやっぱり美味しいし、そういうお酒は値段も高くなるっていうことを知ってしまいました。

出てくるお酒も気になるのですが、出てこないお酒も気になります。例えば、詩人はほとんどの人が詩の中にお酒のことを書くことが多いのですが、谷川俊太郎の詩ってお酒が出てこないなあってずっと以前から気になっていました。そしたら谷川俊太郎が三好達治との思い出を書いた文章で、「酒のおつきあいをできぬぼくは」と書いていました。谷川俊太郎ってお酒を飲まない詩人なんですね。

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ワイングラスのむこう側

林伸次

東京・渋谷で16年、カウンターの向こうからバーに集う人たちの姿を見つめてきた、ワインバー「bar bossa(バールボッサ)」の店主・林伸次さん。バーを舞台に交差する人間模様。バーだから漏らしてしまう本音。ずっとカウンターに立ち続けて...もっと読む

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コメント

sakicolu SNSにアップされた料理の写真| 2年以上前 replyretweetfavorite

frsw75 SNSの裏側に見えるもの。見える想像力と心の余裕。見えないものを、楽しむ力がある人が勝ち組じゃないだろうか。 2年以上前 replyretweetfavorite

natsuy 先日大学生男子3人がお昼時にインスタの写真からランチ候補を探していて、実際にそういう使われ方するのもちょっと驚きだったし、タグの付け方重要だなと思った 2年以上前 replyretweetfavorite