大手広告代理店で健康食品を担当している営業マンは、声を潜めてこう語る。
「今や、新聞やテレビといった大手メディアは、健康食品メーカーに足を向けて寝られないのではないか」
それもあながち大げさな話ではない。新聞のページをめくれば毎日、健康食品の広告であふれている(写真)。
新聞にあふれる健康食品の広告。新聞社側のチェックが入っているものの、表現は過激だ
以前であれば「掲載基準に引っかかった」(別の広告代理店幹部)滋養強壮効果がうたわれる「マカ」。それが今では「みなぎる活力」「強い男でいられる」などの文字がでかでかと躍っている。
テレビになるとさらに顕著だ。コマーシャル(CM)はもちろん、深夜帯の通信販売の番組では、健康食品と美容・健康器具が主役の座を競っている。
「広告の出稿量でいえば自動車、通信、ソーシャルゲームに次ぐ大きな存在」(同)にまで成長。市場は2005年にピークを迎えたとはいえ、いまだ2兆円規模を誇る。裾野が広い業界だけにDHCやファンケルといった大企業をはじめ、健康食品メーカーが大事なクライアントであることに変わりはないのだ。
一方、メーカー側にとっても、新聞やテレビは欠かすことができないメディア。通販が中心のビジネスだから、広告をやめるという選択肢はない。
それだけに「広告に対し、どれだけの注文があったかを測るレスポンス率には敏感。特にテレビでは、レスポンス率を秒単位で小数点以下第3~4位くらいまで細かく比較しており、少しでも悪ければすぐに打ち切って違うテレビ局に乗り換える」(同)というほどシビアで、新聞やテレビの営業担当者は日々、メーカー詣でにいそしんでいる。
こうした広告宣伝費は、当然、商品の価格に盛り込まれている。
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