ソクラテスとは、どんな人物だったのか

一般的に、ソクラテスは「裁判により死刑宣告を受け、非業の死を遂げた人物」として語られることが多いが、それはソクラテスにとって不本意な結果だったのか。それとも己が信念に殉じた結果なのか。
ここでは、サトルの創作メモを通じて「史実におけるソクラテスの生涯と、その哲学」に迫ることにする。

ギリシャ哲学の専門家による笑いあり涙ありのコミカル哲学ストーリー『ソクラテスに聞いてみた』を特別掲載いたします。

サトルが5つの対話を書くにあたって調べた「創作メモ」より

 5つの対話を書くにあたって、ぼくはソクラテスという人物について、あらためて調べてみた。そこには、ぼくが一緒にすごしたソクラテスと重なる部分と、そうでない部分があった。

 とくに、死に至るまでのエピソードには、あの無邪気に笑うソクラテスからは想像しにくいところもあった。しかし同時に、ソクラテスがいまより厳しく不寛容な時代にあって「魂をできるかぎり善くするように」と説きつづけたことを思えば、あのような裁判は避けられなかったのだろうとも思った。

ソクラテスの生涯

 ソクラテスは、紀元前470年ごろ、ギリシアの都市国家アテナイに生まれた。彼の生涯について、詳しいことはわかっていない。それでも彼の人となりが多少なりとも伝わっているのは、主に彼の若い友人であるプラトンが、ソクラテスを主人公にした「ソクラテス的対話編」を著したからだ。

 プラトンの哲学作品のなかで、ソクラテスは、市井の人びとをつかまえて「徳」や「勇気」といった主題についての問答を求める、好奇心旺盛で風変わりな人物として描かれている。

 哲学的な問答を行なう際に、ソクラテスは「自分は重要なことについては何ひとつ知らない」と前置きして、相手の考えを聞き出すのがつねだった。それから、さまざまな質問を相手に投げかけ、相手の考えが不合理で矛盾したものであることを暴露するのだ。

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この連載について

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ソクラテスに聞いてみた

藤田大雪

ソクラテス(職業:ホームレス?)、イカの燻製を片手に人生を語る。「よりよく生きる」ためのコミカル哲学ストーリー。 27歳、彼女ナシ。マンネリ気味の毎日を送るサラリーマンの僕の目の前に、突然、ホームレスのような姿をしたソクラ...もっと読む

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