インターネットによって人間の生存戦略はどう変わる?
橘玲(以下、橘) インターネットによる大きな変化は、人間一人ひとりの評判が可視化できるようになったことと、その評判が広い範囲で流通するようになったことだと思います。それが私たちの人生にどういうインパクトを与えるかに興味があるんですが。
岡田斗司夫(以下、岡田) ああ、僕が「評価経済社会」という言葉を使って話してきたテーマですね。
橘 特に気になっているのは、評判マーケットの拡大が及ぼす影響です。極論をいえば、人間の幸福って、みんなから注目されることですよね。かつてはそれがより多くの異性を獲得する最適戦略だったわけですが、今では評判の獲得自体が自己目的化している。それで、誰もが目立つためのいろいろな戦略を駆使して日々生きている。
岡田 うんうん。
橘 その戦略は、これまでは地域社会(地元)とか会社で目立つためのものだった。でも、いまはインターネットの登場で、誰もがリアルなコミュニティの制約を度外視して評判を獲得できる機会が得られたわけですよね。だったら、やはりより大きな範囲で評判を手に入れようとするだろうし、それに応じて生き方の戦略も変化していくと思うのですが、それについての岡田さんはどうお考えですか。
岡田 うーん、僕は、より大きい範囲での評判が優先される、という前提が逆なのではないかと思います。
橘 逆、というと?
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