砂利を超スピードで粉砕しそうなブス
第1回目で述べた通り、このコラムの共通テーマは「伝えたいことは特にない」である。
よって、毎回のテーマも事前に担当が提示してきたものの中から、これなら書けそうだと思ったものを選んで書いているのだ。
そんな中から、今回選んだテーマは「ワーキングブス」である。
これなら書けると思ったわけでも、勝算ありと感じたわけでもない。ただ純粋に「これはひどい」と思ったからだ。
「ブスが一体、何をしたって言うんだ…」と、思わず、罪なき人が延々惨殺される映画を見たかのような声が漏れてしまった。
直訳すると「働くブス」だ。
まるで「はたらくくるま」のようなノリである。ブスは、もはやショベルやダンプと同じカテゴリーなのだろうか。確かに、砂利を超スピードで粉砕しそうなブスもいるが、相手はあくまで人である。
おそらく、「ワーキングプア」を倣って造られた言葉だと思う。「ワーキングプア」とは、働いてはいるが、低賃金やその他の理由により貧乏な人のことを指す。そうすると「ワーキングブス」は「働いてるけどブス」と言うことになる。
もっとひどくなった。「だったら働くのも辞めるわい」と辞表を叩きつけるブスを止めることは誰にもできない。砂利のように粉砕される恐れがあるからだ。
しかも労働と貧乏には密接な関係があるが、労働とブスは基本的には無関係だ。
しかし、「ブス」ほど無関係な場に乱入してくる言葉はない。
たとえ百人一首大会だと言われようと、ブスはKISSのコスプレで会場に乱入し、「夏来にけらし!」「天の香具山!」などと叫びながら、持参の角材で選手をボコ殴りにして帰っていくのである。
つまり、大きな百人一首大会で若い女子が優勝してテレビのニュースに出たとしても、ブスなら「ブスだな」と思われ、ちょっと小綺麗なら「美人百人一首クイーン」とか「リアルちはやふる」などと言われ、最終的に「そんなに美人じゃねぇよブス!」と叩かれるという、100万回は見た地獄絵図が繰り広げられるのだ。
「ブスすぎるアイドル」としてまとめられるスターダム
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