春夏秋冬☆雑談のネタ帳

オープンカフェで風キラリ!

ちょっと気が利かない若手社員「男子くん」の部署に、一風変わった先輩が異動してきました。「僕は暦とともに生きている」というこの先輩、毎日のなにげない会話にも季節感があふれています。それもそのはず、先輩のネタ帳は最強の雑談データベース、「俳句歳時記」! 今日は男子くんがちょっと気になっている女子ちゃんとオープンカフェでランチ。しかしなぜか、先輩も一緒・・・。

男子くん 女子ちゃん、もう来るかな

俳句先輩 例の”彼女”だね

男子くん 大学の同級生ですよ。たまたま会社が近くて、駅の南口にあるんです

俳句先輩 あの春日傘をさしてくる子かな

男子くん たぶんそう・・・。あ、女子ちゃん!

女子ちゃん 男子くん、お久しぶり。お隣の方は?

男子くん 同じ部署の先輩(てか、なんでこの人ついて来たんだっけ?)

俳句先輩 こんにちは

子ちゃん はじめまして

男子くん とりあえず、オーダーしようか

女子ちゃん 和食のオープンカフェって珍しいよね~。すごくおいしそう!

男子くん、気合いの店選びが功を奏しましたね。確かに春の旬が満載で、充実したランチができそうだ。ついて来てよかった!

女子ちゃん テーブルに生花を飾ってるんだね。スイートピーがきれい

男子くん スイートピーか

女子くん 花びらが揺れてる・・・

(そこにやわらかな春風が吹き抜ける)

男子くん あ、ナプキンが飛んじゃうよ

俳句先輩 風光る・・・

女子ちゃん えっ、風、光る・・・? はじめて聞きました

男子くん (出たぁ~! たぶん季語! それは季語!)あ、それ、先輩のクセで・・・

女子ちゃん 素敵です! 今、先輩が考えられたんですか?

男子くん (え~、まさかの展開)

風は本来吹くもので、光るものではありません。しかし、春の晴れた日、花や木々を揺らし、街やビルの谷間をやわらかく吹き抜けていく風が、まるで光っているように感じることがあります。その輝きは、風にゆらぐ風景そのものをまばゆく、明るくさせます。もちろん、人の心も。

そう、風光る風景は、実に美しい。が、男子くんは、食事に夢中のようです。

男子くん うまい! でもこれなんだ?

女子ちゃん 木の芽和えだね

男子くん じゃあこっちは?

女子ちゃん それは青ぬた。お酒のあてにもいいのよね~

男子くん へぇ~女子ちゃん、よく知ってるね!

俳句先輩 桜貝・・・

男子くん え、貝? 貝なんてどこにも・・・

俳句先輩 春らしいネイルの色ですね

女子ちゃん ありがとうございます! 昨日、新しい色にしたんです

つやつやとしたきれいな貝が十枚、テーブルにちりばめられているのかと思いました。砂浜に打ち上げられたさまが、桜の花が散っているようで美しいことから、桜貝と呼ばれるようになったのでしょう。これも春の季語なんです。

女子ちゃん 桜貝かあ・・・素敵な表現をなさるんですね

男子くん 先輩はね、暦とともに生きている人なんだ

子ちゃん 暦と・・・。あ、昼休みあっという間!いかなきゃ!

男子くん またランチしようよ

女子ちゃん ぜひぜひ!

男子くん 今度は・・・

女子ちゃん ぜひまた先輩もご一緒に! じゃ!

男子くん いっちゃった・・・

俳句先輩 「鳥帰る」だね。越冬した渡り鳥は、春になると北方に帰っていく・・・

男子くん また鳥ですかっ!

==つづく==

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春夏秋冬☆雑談のネタ帳

堀本裕樹 /石川ともこ

ちょっと気が利かない若手社員「男子くん」の部署に、一風変わった先輩が異動してきました。「僕は暦とともに生きている」というこの先輩、毎日のなにげない会話にも季節感に溢れています。そのネタ帳は……なんと俳句の「歳時記」!天気、服装、年中行...もっと読む

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