最終回 SFを通じて人類を描く

2014年、『ニルヤの島』で第2回ハヤカワSFコンテスト大賞を受賞しデビューしたSF作家の柴田勝家さん。新作『クロニスタ 戦争人類学者』の発売に合わせて開始した本企画も、今回でいよいよ最終回。結末までの展開も含めたネタバレ全開の質問で、『クロニスタ』について答えていただきました。


柴田勝家(しばた・かついえ)
1987年東京都生まれ。成城大学大学院文学研究科日本常民文化専攻所属。
外来の民間信仰の伝播と信仰の変容を研究している。戦国武将の柴田勝家を敬愛する。


※本記事は『クロニスタ』の結末までのネタバレを含みます。未読の方はご注意下さい。


Q.柴田先生は旅は好きですか? 『ニルヤの島』のミクロネシア、『クロニスタ』ではアンデス…と、それぞれの物語の舞台がどれも綺麗で大好きです (うらさわさんからの質問)

A.ワシは旅が好きですね! とはいえ、あまり出回るような人間でもないので、ごくごくたまにという感じですが。

 国内は民俗学の関係でたまにちょろっと行くのですが、海外についてはほとんど行ったことのない始末。英語もろくに喋れず、SF関連のイベントで外国人作家の方と会う際にもしどろもどろ。しかし海外の風景というのは好きで、特に旅行に行きづらい場所に思いを馳せるのが大好きです。

『ニルヤの島』でミクロネシアを選んだのも、簡単に旅行には行けない土地であり、また興味深い場所であったこともあります。『クロニスタ』のアンデスもまた、単純に行きたい場所であった部分があります。海には行ったので、次は山に行こう、と。

 前述のように実際に旅行に行くことが少ないので、作品を書く際には現地の空気をできる限り感じられるように努力します。本を読み文物を知り、写真を眺める、その地域の音楽を聞き(『クロニスタ』執筆時はフォルクローレを多く聞いていました)、その土地の料理を食べる(南米料理はお店が多くて助かりました)。あとはこのインターネット時代の恩恵、すなわちYoutubeで現地の動画を見たり、グーグルのストリートビューで道を辿ったりしています。

 昔、タモリさんが「いいとも!」に出るために長期の旅行に行けない時、時刻表を見ながらその土地を想像すると言っていたのを覚えています。ワシも同じです。行けない時は行ったつもりで想像します。本当は行きたいんです。単純に行きたい場所が遠くて、お金が無いんです……。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

SFマガジン

この連載について

初回を読む
クロニスタ』刊行記念 柴田勝家Q&A

柴田勝家

2014年に『ニルヤの島』で第2回ハヤカワSFコンテスト大賞を受賞してデビューしたSF作家の柴田勝家さん。今月24日に新作『クロニスタ 戦争人類学者』が発売することを記念して、読者の皆様から柴田さんへの質問を募集します。質問が採用され...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

Tweetがありません