美しい世界に別れを告げて、いつか死ぬ自分について考える

都会暮らしをする独身アラフォー女子を描いた『すーちゃん』シリーズをはじめ、女性の細やかな心情を描き続ける漫画家の益田ミリさん。そんな益田さんが今年新たに書下ろした新作『きみの隣りで』は、森のなかで、自然と触れ合いながら飄々と暮らすアラフォー女性・早川さんが描かれています。益田ミリさんの新たなる代表作との呼び声も高い本作について、ご本人に伺いました。

チェコ旅行で考えた「死ぬ意味」について

 前編では、どのように益田さんが作品を描かれているかを伺いました。益田さんの作品は、読んでいると「あぁ、生きていくうちに、こういうことってあるよな」と共感する部分がすごく多いです。

益田ミリ(以下、益田) ありがとうございます。「生きる意味」という言葉がありますが、今作では、ふと、「死ぬ意味」について考えることになりました。

 たとえば、作品の最後に早川さんが、こどもと夫をおいて一人で行ったチェコ旅行で現地の教会でモーツァルトを聴いて、感動して、「死ぬというのはこういう美しい世界に別れを告げることだ」と語るシーンがありますね。

『きみの隣りで』P138より

益田 これも、私が実際にチェコに行ったときに、教会でモーツァルトを聴いたとき、その音楽が本当に美しくて。そのときに、「死ぬっていうことは、こういう美しいものを聴けないことなんだ」とハッと思って、すごく悲しくなったんですよね。

 このシーンでは、山にこもった仙人みたいに、みんなの相談役になっている早川さん自身も、いろんなことを問い続けている姿が、とても印象に残りました。

益田 そうなんです。早川さんも、仙人じゃなかったですね。私も、前作では「早川さんは仙人みたいだな」と思っていたんですが、早川さんもやっぱりちゃんといろんなことに悩んでいます。

劇画タッチの絵も、実は描いてみたいです

 前作の『週末、森で』を描かれたときと比べて、ご自身で変化を感じる部分はありますか?

週末、森で (幻冬舎文庫)
『週末、森で』(幻冬舎文庫)

益田 絵柄が、少し変わりましたかね? なんか前よりも、ちょっと顔が四角い気がします。私の絵って、大丈夫ですかね? すーちゃんとかも、最初のころと全然顔が違うんですよ。最初は丸顔なのに、どんどん四角くなっていって、最後はどうなるんだろう……。

 意識して絵柄を変えているわけではないんですか?

益田 いつも上手になりたいと思って、「こっちのが上手かな」と、ちょっとずつ変えて描いてるんですけど(笑)。ファンレターをくださる方の中に、たまに「益田さんの絵コンテ大好きです」と。「漫画」といわずに、「絵コンテ」……と。

 アハハハ。

益田 嬉しいんですけれどね。あの、突然ですが、私、絵はうまくなっていますかね?

 え……?

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シリーズ累計60万突破の四コマ漫画「すーちゃん」から 10年。益田ミリの新たな代表作の誕生。

きみの隣りで

益田 ミリ
幻冬舎
2016-03-17

この連載について

初回を読む
漫画家・益田ミリインタビュー「人生を、陰りなく生きるには」

益田ミリ

都会暮らしをする独身アラフォー女子を描いた『すーちゃん』シリーズをはじめ、女性の細やかな心情を描き続ける漫画家の益田ミリさん。そんな益田さんが今年新たに書下ろした新作『きみの隣りで』は、森のなかで、自然と触れ合いながら飄々と暮らすアラ...もっと読む

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コメント

ayakahan |益田ミリ こういう漫画もあるんだなぁ。やっぱり皆疲れてるんだな。 https://t.co/YqXuXZXv6o 4年以上前 replyretweetfavorite