創業者が明かす、バズフィードを成功に導いた「3つのこと」
「バズフィード」は口コミでの拡散を戦略的に活用した総合ニュースサイトだ。ハフィントン・ポストの創設に加わったジョナ・ペレッティと、ニューメディア・アートの美術館「アイビーム」の創設者ジョン・ジョンソンが、共同で2008年に創設したこのメディアは、毎年飛躍的な伸びを見せ、2011年から2013年のあいだでユーザーは3倍になった。2014年にバズフィードのニュースやエンターテインメント、口コミリストなどのコンテンツを訪問した人の数は、月間数千万人にのぼる※。(※2015年11月には月間のPV数が50億に達した)
どうしてバズフィードがこれほど多くの訪問者を呼びこみ、しかも長くとどまらせるのかを知りたくて、マンハッタンのフラティロン地区にあるオフィスを訪ねてみた。
ジョナ・ペレッティは、突き抜けた天才の面と、学者みたいに博識深い面を併せ持った人物だ。童顔のこのCEOは、90年代から「Black People Love Us!」のようなサイトで口コミを広げていた(Black People Love Us!は、「俺たちがアフリカ系の人にどれほど愛されているか」を白人バカップルが自慢している設定のパロディサイト。顔写真つきのわざとらしいコメントまで並んでいる)。ペレッティはまた、自分が買ったナイキのスニーカーに「sweatshop(搾取工場)」とプリントを入れるように注文し、それをキャンセルしようとしたナイキ窓口とのメールの攻防でも有名である。
バズフィード創業者ジョナ・ペレッティ(photo:TechCrunch, CC BY 2.0)
ペレッティのオフィスは、三方を透明なガラスの壁に囲まれ、フロア全体のまんなかにある。そこで彼は、成功するための必勝法なんてないけれどと前置きしつつ、バズフィードの成功には3つの大きな要因があったと話してくれた。
要因のひとつは、バズフィードを裏で支える科学、すなわち、コンテンツがウェブ上でどう拡散していくかを計算する内部のバイラル(口コミ)エンジンだ。
「疫学をもとにした単純な計算式ですよ。伝染病の広がりを計算する式は、共有とコンテンツの変化を測る式にも使えるんです」。そのモデルを使って、バズフィードのチームはコンテンツの拡散のしかたを予測し、たくさんの因子を考慮して、口コミにのる確率を高めようとする。ペレッティ自身もそれまでの10年間、ネットワークの仕組みと人間行動について学び、「少しでも成功の可能性を上げよう」としてきた。
第2の要因は「目新しさ」だ。「目新しさは、何かを発進させるときにいちばん重要な要素ですね」とペレッティは言う。バズフィードのレポーターたちは四六時中ウェブを巡回し、投稿できる新しいコンテンツを探している。結果として、新しいコンテンツがつねに流れこみ、古いコンテンツと入れ替わっている。
第3の要因は「評価」であり、注目をつかむ力としてはこれがいちばん強い。ペレッティいわく、「情報共有に作用するのは知性じゃない。感情です」。彼は例としてミネソタ州民をあげた。
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