笑いのカイブツ

アナタの優しさが、ビンタみたいに痛かった—原子爆弾の恋・前編

物語は冒頭に巻き戻ります。ハガキ職人も辞め、東京から戻り、童貞喪失に失敗し、自暴自棄になっていたツチヤタカユキさん。そんなツチヤさんが出くわしたのは、金髪でピアスだらけの“アナタ”でした。
他を圧倒する量と質、そして「人間関係不得意」で知られる伝説のハガキ職人・ツチヤタカユキさん、二七歳、無職。その孤独にして熱狂的な笑いへの道ゆきが、いま紐解かれます。

初めてアナタを見つけた日。

普通の女の子でさえも、緊張してしまうのに、あの子は、金髪で、ピアスだらけだった。
住む世界が違う住人だと思った。

いつもだったら絶対に声をかけられるはずがない。
でも幸い、酒に溺れていた僕は、酔っ払えばどんな破廉恥なことでもできるようになり下がっていた。

しどろもどろになりながら彼女に話しかけた。でも、何を話したかはほとんど思い出せない。


気がつけば、彼女が去っていて、手元のペーパーナプキンに何かが書かれていた。
誰にも読めないような字で書かれた僕の遺書にこう付け足してあった。

『人と話すのニガテ? おどおどしてる感じが、すごくかわいかった。また会いたいですね』

最後に名前とLINE IDが書いてあった。


帰宅後、初めてLINEを送る時、もう酔いは完全に覚めていたから、なんて送ったらいいのか分からなくて、ケータイを持って長い時間、固まった。

結局、僕は『ありがとう』とだけ書いてアナタに送った。


初めてのデートは公園だった。

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笑いのカイブツ

ツチヤ タカユキ
文藝春秋
2017-02-16

この連載について

初回を読む
笑いのカイブツ

ツチヤタカユキ

他を圧倒する量と質、そして「人間関係不得意」で知られる伝説のハガキ職人・ツチヤタカユキさん、二七歳、童貞、無職。その孤独にして熱狂的な笑いへの道ゆきが、いま紐解かれます。人間であることをはみ出してしまった「カイブツ」はどこへ行くのでし...もっと読む

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コメント

higoom はあ天才。。天才の次元がちがう天才。。。、 4年以上前 replyretweetfavorite

smile_narunaru ツチヤじゃん!後で読む用 4年以上前 replyretweetfavorite

athrun777 ツチヤタカユキの連載面白い > 4年以上前 replyretweetfavorite

theta0217 ツチヤタカユキ、良い、良いぞー 4年以上前 replyretweetfavorite