初めてアナタを見つけた日。
普通の女の子でさえも、緊張してしまうのに、あの子は、金髪で、ピアスだらけだった。
住む世界が違う住人だと思った。
いつもだったら絶対に声をかけられるはずがない。
でも幸い、酒に溺れていた僕は、酔っ払えばどんな破廉恥なことでもできるようになり下がっていた。
しどろもどろになりながら彼女に話しかけた。でも、何を話したかはほとんど思い出せない。
気がつけば、彼女が去っていて、手元のペーパーナプキンに何かが書かれていた。
誰にも読めないような字で書かれた僕の遺書にこう付け足してあった。
『人と話すのニガテ? おどおどしてる感じが、すごくかわいかった。また会いたいですね』
最後に名前とLINE IDが書いてあった。
帰宅後、初めてLINEを送る時、もう酔いは完全に覚めていたから、なんて送ったらいいのか分からなくて、ケータイを持って長い時間、固まった。
結局、僕は『ありがとう』とだけ書いてアナタに送った。
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