カジノこそチャイナマネーを取りこむ一手
日本には都会と地方に、それぞれ特色の違う魅力がそろっている。有効に活かしていくには、やはり海外の金持ちに来てもらうのが一番だ。
各市町村の行政には、グローバルな都市戦略が求められる。富裕層をはじめとした海外の観光客を、いかに誘致するか、真剣に考えていかないといけない。その点で福岡は、かなり先進的に取り組んでいる、有望な都市だ。
便利な空港は、羽田と福岡があるので、まあよしとして。将来的に、ぜひとも導入してほしいのは、公営カジノだ。
カジノ戦略で成功した都市といえば、マカオが筆頭に挙げられる。
マカオはかつては治安の悪いイメージだったけれど、運営利権を独占していたスタンレー・ホーの時代が2002年に終わった。そして香港系のギャラクシー・エンターテイメント社とアメリカのウィン・リゾーツ社が参入した。海外企業の投資が相次ぎ、リスボア、サンズ、ザ・ヴェネチアン・マカオなど、洗練されたカジノが続々と建設された。
そういった変化の時期と、中国の経済成長のタイミングが重なった。大量の観光客と共にチャイナマネーが、マカオに流れこんだのだ。
2006年カジノの総売り上げは69億5000万アメリカドルとなり、それまで世界最大だったラスベガスの65億ドルを超え、2014年のマカオの収益はラスベガスの7倍にもなったようだ。かつてポルトガルの領有下だった小さな行政区が、半世紀もしないうちに世界トップクラスの経済都市となったのだ。
マカオの成功は、中国人の招致戦略の上手さにある。高速船や飛行機など中国からの直行便を整備して、陸路からの入境も一部解禁した。
中国人のギャンブル好きは、とにかくすごい。僕もカジノが好きで、マカオのほかラスベガス、サンディエゴ、バンクーバー、ソウル、ハノイ、セイシェル、オークランド、済州島……などたくさん行っているが、どこのカジノも中心にいるのは中国人観光客グループだ。逆に言うと中国人の来ないカジノは、ほとんど終わっている。少し前に行ったモナコのカジノは、酔っ払いのイタリア人客とか、石油王のアブラモビッチみたいな顔をしたロシアの成金がいる程度で、うら寂しい雰囲気だった。
カジノに限った話ではないけれど。アジア区域における日本の都市戦略を進めていくためには、中国人の富裕層の誘致が、必須となっている。お台場や、福岡の市街地に公営カジノをつくったら、中国の億万長者がおそろしいほど巨額のカネを持って、押し寄せるに違いない。
カジノの周辺施設はビジネスチャンスの宝庫
もし将来、国内にカジノがつくられることになって意見を求められたら、いくつかアドバイスがある。ひとつは、何度も述べるように質の高いホテルの併設だ。インターネット環境など、オペレーションが完璧に整ったホテルがカジノに隣接していれば、外国人向けの大きなアピールとなる。
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