大阪はいかがわしいものも清濁あわせてパワーアップする

日本のなかでも個性的な都市である大阪は、どのように今後、成長していくべきなのでしょうか?
出所から2年半の間に、28カ国58都市を訪れた堀江貴文さんが世界で考えました。
早くも5万部突破の書籍『君はどこにでも行ける』を、特別掲載いたします。

大阪の貧困解消は子どもへの投資が早道  

 東京、福岡のほかにも、国内の有望な都市を見ていこう。

 まずは大阪市。人口数は横浜市に次ぐ、日本第2の大都市だ。しかし市の経済状態は、だいぶ厳しい状態が長く続いている。失業率は9.1%、離婚率は2.54%で、全国平均の数値より悪い。市民の約18人にひとりが生活保護受給者だという。貧困層がじわじわと増加傾向にある。大阪ほど大きな規模の都市でも、国からの交付金がなくては行政が成り立たないのが現状だ。ある意味、日本社会全体の問題を凝縮している街だと言える。

 改善するには、貧困層への保障を厚くするのではなく、市全体の教育環境を向上させて、貧困の連鎖から子どもたちを救い出すことだ。小学生は10 年も経てば、納税者になる。高い教育を受けた子どもなら、たくさん稼いでくれるだろうし、新しい仕事を生みだす可能性も高い。

 学校は、有名予備校の人気講師などの授業を配信するテレックス授業を導入してほしい。現場の教師はサポート程度にいれば充分だ。英語は生徒全員にタブレットを渡して、外国人講師のスカイプ授業がいいだろう。下手な先生に一律的に教えてもらうより、ずっと効果的だ。カーンアカデミーのような、オンライン教育プログラムの導入も望ましい。

 大阪に限った話ではない。教育機関の選択肢が、いまは少なすぎる。子どもたちが好きなところで、好きなように学べる環境づくりが必要だ。貧しい家庭が子どもの教育にお金をかけられないのだから、それこそ行政が代わりにやらなければいけない仕事だと思う。

 10 年後の投資対効果を期待するなら、教育にお金をかけるのが一番だ。いま教育費に投入されている市の予算を倍にするだけで、10 年後には驚くほどの効果が出るだろう。貧困問題を解消するには、ビルや施設の建設にお金を投じて、雇用を捻出しても効果は低い。中長期的に見て、子どもたちに手厚い投資をすべきだ。

大阪はいかがわしいものも清濁併せてパワーアップする

 2014年、大阪市の橋下徹市長(当時)と対談させてもらった。日本維新の会のパワーが落ちている、なかなか厳しい時期ではあったけれど、橋下さんの大阪都構想をはじめとする政策には、僕はおおむね賛成している。

 当時、僕が期待していたのは、大阪市の市営地下鉄の民営化計画だ。橋下さんはそこから市営バス、水道局の民営化への移行を、視野にいれていた。もし実現したら全国的にも画期的な改革だ。サービスは飛躍的に向上するし、関連の仕事も増えるだろう。

 また橋下さんはカジノなど、遊興施設を大阪に増やす計画も検討中だった。彼なりの表現で、「いかがわしいものを大阪に集めたい」と言われていた。なるほどと思った。アジアの各都市を見ていてもわかるように、猥雑なものから生まれるパワーは計り知れない。

 大阪には、よしもと文化や、日本初のラグジュアリーホテルのリッツカールトン大阪もある。楽しくてサービスの質の高いものへの感性が高い土地だ。政治がうまく後押しできれば、面白いことになるだろうと思った。

 ちなみに大阪は、僕をかなりウェルカムに受け入れてくれる街でもある。僕の著書『ゼロ』がいちばん売れているのは大阪の書店で、販売イベントはいつも大盛況だった。特に女性ファンが多く、心斎橋やアメリカ村の書店でのサイン会はバラエティ番組の収録みたいだった。

 こんなに好意的なのは、故・やしきたかじんさんの影響があるのかもしれない。たかじんさんとは最晩年、番組で共演させていただいた。あの世代の方には珍しく、僕に対しては、応援する立場でいてくれた。たかじんさんが逝去された後も、彼の番組には準レギュラーで出演させてもらっていた。

 たかじんさんが他のマスコミのように、アンチ堀江貴文の立場を取っておられていたら、大阪の人はここまで僕を好きでいてくれなかったかもしれない。

 ここ20 〜30 年ほどの、大阪の街全体の空気感みたいなものは、たかじんさんのような芸人系のひとびとが、つくりあげたと言っても過言ではないと思う。そういう意味でも、日本だけでなく世界のどこにもない、個性的な都市だ。

京都はグローバリズムの逆行で価値を高めている   

 プライベートでも仕事でも、たびたび訪れる国内の都市のひとつが京都だ。主に老舗のグルメを楽しんでいる。老舗料亭のクオリティは全国屈指。秋の丹波の松茸など、季節の食材を活かした伝統の料理は、いくら高くても一食の価値はある。

 神社仏閣の観光スポットの充実は、言うまでもない。インバウンドの観光客の間では、変わることなく、東京に次ぐ人気ナンバー2の都市だろう。第二次大戦中に街が破壊されず、貴重な遺跡や古刹がほとんど昔のまま残ったのが、大きな価値となっている。あれだけ多くの遺跡が戦禍を逃れ、いまも観光ビジネスの基点として利用されている京都のような街は、世界的に見ても貴重だ。

 一方で、近年は京都府全体で人口が減少傾向にあるという。間もなく深刻な高齢化が問題になっていくだろう。

 しかし行政を挙げて若者の集う企業を誘致したり、自治体を活性化させようという動きは、他都市に比べて少ないと感じる。いまでも寺社エリアの周辺に高いビルの建築が許可されないなど、環境制限がかかっている。

 おそらく京都には、人口を増やそうとか発展していこうという意志が、そもそもないのではないか。現状のままで充分、世界的な観光地ブランドを維持できている。あえて時代の変化の波に乗らず、昔のままの景観で生き残っていこうというのが、京都の戦略だろう。むしろ発展したくないというか。グローバル社会を逆行する、独特の立ち位置が、この街の価値をより高めていると思う。

 総人口の減少は止められないが、世界にアピールできる文化遺産は豊富に残っている、日本の未来像のモデルとして参考になる街かもしれない。


激変する世界、激安になる日本。世界中を巡ってホリエモンが考えた仕事論、人生論、国家論。


『君はどこにでも行ける』堀江貴文

はじめに 世界は変わる、日本も変わる、君はどうする
1章 日本はいまどれくらい「安く」なってしまったのか
2章 堀江貴文が気づいた世界地図の変化〈アジア 編〉
3章 堀江貴文が気づいた世界地図の変化〈欧米その他 編〉
4章 それでも東京は世界最高レベルの都市である
5章 国境は君の中にある
特別章 ヤマザキマリ×堀江貴文[対談] 無職でお気楽なイタリア人も、ブラック労働で  辛い日本人も、みんなどこにでも行ける件
おわりに

この連載について

初回を読む
君はどこにでも行ける

堀江貴文

街角で〝爆買い〟する中国人観光客を横目で見た時に感じる「寂しさ」の正体はなんでしょう。出口の見えない不況の中で、気づけば日本はいつの間にか「安い」国になってしまいました。 出所から2年半の間に、28カ国58都市を訪れた堀江貴文さ...もっと読む

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コメント

dooga1patsu 自由な発想を現実化できる街が大阪の良さであったはずがいつの間にか大阪市議自由共産党のせいでできなくなった。明治、大正の方が自由だった 3年以上前 replyretweetfavorite

kohtaro_x 秩序重視の日本に猥雑なものを取り込むのは、元からの伝統がないと難しいと思うんだが. あと京都は“グローバル社会を逆行する姿勢が価値を高めている” 3年以上前 replyretweetfavorite

AMIINOUE また、スタンダードブックストア来てね(^^) 3年以上前 replyretweetfavorite

smilepinky たかじんが居なくても恐らく嫌いではなかった。 頭いいなと思うのはきっと努力してきたからだとおもう。 3年以上前 replyretweetfavorite