男子くん 朝めっちゃ寒いのに、先輩、薄着っすね~
俳句先輩 寒い寒いといって着込んでいると、体型が丸くなり、動作や頭の回転も鈍くなりますよ。コートを着て、マフラーに手袋、耳当てまでして、丸々と着ぶくれ・・・なんですか君は。全身冬の季語じゃないか!もう立春はとうに過ぎているというのに
男子くん 僕、沖縄出身だから、寒がりなんですよ
沖縄出身とは知らなったよ、男子くん。しかし、暦のうえではもう春が来ているのですよ。
男子くん そもそも立春って、いつでしたっけ?
俳句先輩 二月四日あたりですね
立春は、陰暦(旧暦)で一年を二十四に分けた季節上の区分、二十四節気の第一番目に当たります。前日が節分(二月三日あたり)で、冬から春へ季節が移り変わる分岐点。厳しい寒さの中にも、木々の芽吹きや鳥のさえずりがあり、新しい季節の訪れを知らせてくれます。
暖かくなり、日差しも明るさを増すと、「そろそろ冬服にも飽きてきた」「重い服を脱ぎ捨てて身軽になりたい」という気分になるものです。ショーウィンドーにパステルカラーの春の服が目立ち始め、見ているだけで心が弾みます。「春らしい色ですね」「今日は春の装いだね」といったやりとりが、日常でもごく自然に行われ始める頃です。だから、春の服は春の季語なのです。
俳句先輩 見てごらん。みんな色彩豊かで明るい春の服を着始めている。全身真っ黒くろすけなのは……
男子くん 僕くらいですね。先輩、薄ピンクのコート、お似合いです。でも本当は寒いんでしょ、やせ我慢してるんでしょ
俳句先輩 心配ご無用
男子くん またまた
俳句先輩 僕は暦とともに生きていますから
男子くん (なんだこの人、ウケる~~!!)
==つづく==
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