夏目三久アナは「間」を統率する

人気番組『マツコ&有吉の怒り新党』の進行役を3月末で卒業したアナウンサーの夏目三久さん。なぜ彼女は毒舌タレント2人のテンションを上手く扱うことができたのでしょうか? その答えの肝となる、彼女の巧みな「間」の取り方について武田砂鉄さんが分析します。

2人が夏目に理解を示す場面

番組開始から5年間、『マツコ&有吉の怒り新党』(テレビ朝日)で進行役を務めてきた夏目三久アナウンサーが3月末で番組を降板した。この番組をほぼ欠かさずに観てきたが、ずっと謎に思ってきた点があって、もしかしたら数名くらいとなら共有できるかもしれない。読者から届いた「怒りの声」について2人が議論し終えると、採用か不採用かを決め、夏目が隣に置かれている箱に仕分ける。仕分け終えると「続いて参ります」と次のお便りに移るのだが、次の「怒りの声」を読み上げるまでの1秒ほど、カメラは高いアングルからの3ショットを映す。そのショットに映る夏目の口の動きと、映像に被さる夏目の声が必ずズレるのだ。夏目の正面ショットに切り替わると、音声と映像は合致している。あのズレた1秒を、なぜわざわざ残し、繰り返したのだろう。疑問が晴れぬまま辞めてしまった。

番組が始まった当初は、毒舌ブームを象徴する2人の「怒り」の切れ味を堪能する番組だったが、その切れ味は徐々に弱まっていった。弱まったというか、2人が意識的に弱めていった。始まったばかりの頃は「怒り」の攻勢に困惑していた夏目も、そのうちに2人を活かすための冷静さを発揮するようになる。夏目が投稿側の意見に自分の意見を滲ませるようになり、その意見を2人が抽出することで、牧歌的な空気が生み出されていった。2人でまとめあげた意見であっても、投稿者を介した夏目の意見を受け止めて「んまぁ、それもそうね」と理解を示す場面が見受けられるようになったのだ。

作り上げたテンションを「間」で崩す
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365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

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sakutashiryou |武田砂鉄 @takedasatetsu (´-`).。oO(最初はお二人の毒舌と張り合おうと気負っていたっちゅうか、あれは天然ではないかしらん)https://t.co/2N3422xdqT 約3年前 replyretweetfavorite

continental_op 出過ぎず引き過ぎず、キャストも自分も殺さないあの絶妙なポジション取りは並みの女子アナには真似できまいて 約3年前 replyretweetfavorite

kiku0711 「間が怖い…」のはアナウンサー含め、話す仕事をしている人なら経験があると思います。「間」の難しさに注目されるとは、ライター武田砂鉄さん、鋭いです! 約3年前 replyretweetfavorite

gara_dari |武田砂鉄 @takedasatetsu バファリンの半分は優しさでできているが、齋藤孝は全てが正しさでできていて、朝から注げる優しさを半分どころか少しも用意できなかった あさチャンねw https://t.co/21C2XUGALt 約3年前 replyretweetfavorite