ベストセラー作家を支える「性癖」とは?

近年、出版業界の中でも大きな売り上げを出しているライトノベル(ラノベ)市場。そのラノベ市場において、ほぼ毎年、一人でその市場の約10%の売り上げを上げているのが、元電撃文庫編集長、現株式会社ストレートエッジの編集者・三木一馬氏です。担当作は、『とある魔術の禁書目録』(累計1580万部)、『ソードアート・オンライン』(累計1130万部)、『灼眼のシャナ』(累計860万部)など。数多くのヒット作を生み出す三木さんは、どのように作品を生み出し、ヒットに導いているのか。処女本『面白ければなんでもあり 発行累計6000万部――とある編集の仕事目録』(KADOKAWA)の発売を記念して、その仕事術や本の作り方について、全3回にわたってお届けします。

「家訓」と「性癖」を作家と共有する

加藤 『面白ければなんでもあり』を読んで思ったのは、三木さんはつねに仕事のやり方自体を問い直しているなということです。作家さんによって接し方を変えていたりとか。

三木 常にトライ&エラーしながら作っています。この作家さんは褒めたら筆が進むぞ、とか、逆に作家さんによっては褒めても全然反応してくれなかったり。

加藤 ははは(笑)。

三木 そういう反応を見ながら、その作家さんに合った作り方を模索してます。

加藤 言うのは簡単ですけど、編集者によっては、自分の仕事のやり方を押し付けてしまうこともあると思うんですよ。

三木 自分のやり方を押し付けるのは楽かもしれませんが、みんなが気持ちよく仕事できたほうが楽しいですし、結果的に作品のクオリティも上がると思います。

加藤 作品を書きはじめる際に、必ず「家訓」を決めるという話もとても印象的でした。家訓って、つまり作家のやりたいことや書きたいこと、テーマのようなものですよね。

三木 やっぱり、作家さんは絶対に作品の中で譲れないポイントをお持ちなんですよ。もしこちらが修正依頼をしても、そこだけは直さない。ただ、それはとてもいいことだと思っていて。そこが個性となり、作品の売りとなる部分ですから。

加藤 本では「性癖」と書かれていましたね。

三木 性癖と聞くと怪しいイメージを持たれるかもしれないんですが、その人特有のクセやこだわりのことを指していて、打ち合わせが終わったあとに、よく「指摘を聞いてくれなかった部分はどこだったかなあ」とふり返ります。つまりそこが、作家が絶対譲れない部分、性癖なんです。「俺はこれが書きたいんだ!!」というのを持ってるわけです。そこはどんなに理不尽だろうと絶対譲らないんですよ。でも僕はそれがいいな、と思っているんです。

加藤 なぜですか?

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幸せをつくる最強の仕事術—三木一馬×加藤貞顕対談 

三木一馬

近年、出版業界の中でも大きな売り上げを出しているライトノベル(ラノベ)市場。そのラノベ市場において、ほぼ毎年、一人で市場の約10%の売り上げを上げているのが、元電撃文庫編集長、現株式会社ストレートエッジの編集者・三木一馬さんです。担当...もっと読む

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コメント

sakutashiryou |三木一馬 @kazuma_miki2016 (´-`).。oO(尋ねるリズムやビートが移り変わっているけれど、仕事を突き詰める道のりは変わっていないんだと思いました。)https://t.co/XouUhnbR7T 10ヶ月前 replyretweetfavorite

tech_nakamura 「思想」ではなく「家訓」、「性格」ではなく「性癖」と表現するところがラノベ市場を特性を表しているのだろう。[コミュニケーション] 11ヶ月前 replyretweetfavorite

alexandre_ishii #SmartNews ああw https://t.co/9xBq7AZzlF 11ヶ月前 replyretweetfavorite

mariouji 本を作るのは別に目的じゃないんですよね。本を作るのは、才能があるクリエイターの発想やアイデアを多くの人に伝えること、そして伝えた相手を幸せにすることが、本当のゴールですよね。|三木一馬 @kazuma_miki2016 https://t.co/wLnIQUBIQV 11ヶ月前 replyretweetfavorite