Q.荒岩家の教育方針とは?

とってもハートフルで、いつも元気な荒岩家。子どもたちの教育方針も、そのイメージ通りに自主性を尊重し、子どもたちを型にはめない、そんな方針がはしばしに感じられる。クッキングパパでは、荒岩も虹子も子どもたちに「~しちゃダメ」「~しなさい」と強く言うような場面はまったく見あたらないのだ。また、荒岩家は個性を否定するようなことはしないし、いましかできないことをして欲しい、という信念を強く持つ荒岩家のアツい教育方針について探る。

A.荒岩家は超ゆとり教育! アンチお受験! 完全放任主義なのに、なぜか自然といい子に育つ「荒岩メソッド」に注目!

とってもハートフルで、いつも元気な荒岩家。子どもたちの教育方針も、そのイメージ通りに自主性を尊重し、子どもたちを型にはめない、そんな方針がはしばしに感じられる。クッキングパパでは、荒岩も虹子も子どもたちに「~しちゃダメ」「~しなさい」と強く言うような場面はめったに見あたらない。

たとえば、みゆきが小学校2年生くらいのとき、朝出かけたはずのみゆきが学校に来ていないという事件が起こる。小学校から連絡を受けた荒岩や虹子は仕事を抜けて必死で探したのだが、見つからない。昼にようやくみゆきが学校に到着するが、この間一体なにをしていたかというと登校中に寄り道をしていたら海に出てしまい、砂浜でひとり遊んでいたらあっというまに時間が過ぎていたという顛末。なんというエクストリーム登校だろうか。無事でよかったけど、みゆき、ちょっとフリーダム過ぎないか……。


○72巻 cook.707 P164 海でひと遊びして、給食の時間に華麗に登校するみゆき©うえやまとち/講談社

この日の晩、荒岩家はいつものようにおいしい夕食を囲んで「どう? みゆき今日は楽しかった?」と訊くだけ。「うん とっても!!」と力いっぱい答えるみゆきに「しょうがないな~」という表情をしつつもほっこりしているように見える。

えっ、それだけ……?

自分の娘がこのようなエクストリーム登校をしたら、「うちの娘が問題行動を……!!」と死ぬほど心配になって「頼むからもうこんなことはしないで!」と叱ってしまいそうだけれど、荒岩家はみゆきの行動を「なんでもないこと」として受け止め、むしろみゆきの大冒険をちょっと嬉しく思っている節すらある。この行動力は、みゆきの個性。荒岩家は個性を否定するようなことはしないのだ。


○72巻 cook.707 P168 個性は伸ばす方針©うえやまとち/講談社

荒岩家の教育がいかにのびのびしているかをあらわすこんなエピソードがある。6月のある朝、休日出勤が続いた虹子は、朝起きたらあまりの疲れに会社に連絡して有給休暇を取り、まだ幼かったみゆきも保育園をお休みしてひさびさに一緒に過ごすことに。それを聞いた中学生のまことも、「じゃあ……ボクも休もうかな……」と言い、荒岩も虹子もそれを認めて「今日は親子でゆっくり休む日」と決めて、リフレッシュ休暇を楽しんでいる。


○50巻 cook.490 P9 理解ある荒岩©うえやまとち/講談社

どんなに明るく人気者で、勉強に部活に頑張りやのまことでも(たぶん、そんなまことだからこそ)疲れることもある。頭ではわかっていても親として「休んでいいよ!」と言うのはけっこう勇気のいることだと思う。

私事で申し訳ないけれども、自身中学生のときに友達関係や学校への馴染めなさをこじらせて不登校になったことがあった。そのときに親が学校に行かないという選択を認めてくれたお陰で、その後徐々に社会復帰できるようになったという思い出がある。まあ、我が家は荒岩家と違って、窓ガラスが割れるほどの親子喧嘩を繰り広げた末だったのだけども……。まことは不登校でもないし、ただ一日だけ休みたかっただけだけど、それを認めてくれて、ずいぶん助かったんじゃないかなあと思う。

虹子は「学校にも有給休暇みたいなものがあるといいわね」と、さすがは新聞記者、いまで言う「ワークライフバランス」のような概念を学校にも導入したらどうかと思いついている。当時は1996年。この時代、荒岩家はすでに「ワークライフバランス」の概念を持っていたのだ。


○50巻 cook.490 P20 虹子、なんでも仕事に結びつけがち!©うえやまとち/講談社

お受験にNO! と言う荒岩家で育ちながらも「自主的に」受験戦争に身を投じるまことの恐るべきバランス感覚

こんな風に子どもたちをかなりのびのびと育てている荒岩家。お受験に対しての姿勢も、なかなかのもの。まことが高校受験を来年に控えた年には「来年のいまごろは大変ね じゃあ来年になって後悔しないようにー 今年はいっぱい遊んどかなきゃ」と言うのだ。ほかの母親や先生が「受験の準備は早いうちから」と言うなか、虹子は「来年やれることは来年かんばればいいのにネッ」とどこ吹く風。虹子の育った時代は受験戦争の時代。自分の子どもにはそんな詰め込み教育ではなく、いましかできないことをして欲しい、という信念を強く持っている。

受験システムや詰め込み教育、いわゆる「お受験」と呼ばれるような名門校指向に対して「子どもへの愛情の取り違え」とはっきり批判している。

お、おぅ……大丈夫か虹子、そこまではっきり言うと炎上しちゃうんじゃないのか……。

だから、虹子や荒岩は子どもたちに「勉強しなさい」と強制したりはしないのだ。虹子のあまりに圧力のある言葉に、我々はうっかり「そ、そうだよね……やっぱり詰め込み教育はよくないよね!」と全面的に降伏しそうになるけれども……。

忘れてはいけない。虹子の息子は奇跡レベルにできたスーパー息子・まことなのだ。

「のびのびと自由に育てる」という荒岩メソッドの元になにも強制されずに自由に育ったはずなのに、いざ受験シーズンが本格化すると、まことは小学校からつきあっている彼女•さなえちゃんと同じ高校へ行くために自分から塾に行くことを選び、虹子の思いに反して猛勉強を始めるのだ。親は「勉強しなさい」なんてひと言も言ってないのに……!


○72巻 cook.699 P13 アツい思いはあるものの、ここはひとつ見守る©うえやまとち/講談社

注目すべきは、「無理しなくていいのに……」という親の意見に甘えず、自分の力量の不足をちゃんと冷静に把握し、そのためには塾に行かなくてはいけないことを悟って、それを両親に伝えて塾に通うという手配ができたまことの凄さ。

まことは、自分の両親の受験に対する考えがちょっと理想主義的だということをわかっているのだ。

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クッキングパパの謎

澁谷玲子

開始から30週年を迎えた『週刊モーニング』の人気連載『クッキングパパ』。ガッチリとした体型としゃくれたアゴがトレードマークの無骨な九州男児・荒岩一味が織りなす、身近な素材を作って作った絶品料理の数々に、ヨダレを垂らしながら読んだ読者も...もっと読む

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