『こんなオレと
今まで付き合ってくれて
本当にありがとう……』
彼女と別れた帰り道。
それは彼女が「彼女」じゃなくなる前に、打ち始めた最後のLINEだった。
アナタに初めて会ったのは、死ぬことばかり考えていた頃だった。
ハガキ職人を辞め、東京から出戻り、バイトで食いつないでいた27歳の僕は、酒に溺れた。
そこから先なんて、ないと思っていた。
そこから先なんて、なくてもよかった。
真夜中の難波の街、そこを歩く時、僕はいつも見えない吐瀉物に、まみれているみたいな感覚になる。
頭のなかの沼地に沈み込んで姿を消したカイブツのように、僕も酔いの彼方に沈んだ。每日のように吐くまで酒を飲んだ。
ピンクと二人で、オカマバーに行った。
そこで見たコントは、あまりにもくだらないコントだった。
しかしピンクは笑って言った。
「あいつら、すぐにテレビ出れるぞ」
僕は酔いすぎて、ろれつが回らなくなりながらも、こう反論した。