スーツを身にまとった織田裕二が、コーラを片手に“脂肪に、キタキタッ”とキメる──。2012年11月13日にサントリー食品が発売したトクホコーラ「ペプシ スペシャル」のテレビコマーシャルだ。
近年のメタボ対策需要に、大手メーカーの大々的な宣伝がぴったりと合い、トクホの認可を受けた商品は、昨年ついに1000品目を突破した。
体脂肪対策をうたう花王の「ヘルシア緑茶」。シリーズは合わせて年間300億円を売り上げる
トクホといえば、薬事法ぎりぎりの宣伝文句が度々問題となり、「これさえ飲めば痩せられる、といった誤解を招きかねない」(高橋久仁子・群馬大学教育学部教授)と批判されてきた。
確かに、宣伝文句を鵜呑みにはできない。図1‐4に示した通り、効果は限定的なので、あくまでも同様の食品の代わりに使う程度と捉えたほうがいい。
もともと健康な人は、表示されている効果が自分にとって本当に必要なのか、一度立ち止まって考えてみることをお勧めしたい。
あまり知られていないが、トクホの試験では効果が表れやすい人を被験者としていることが多く、黒烏龍茶やメッツコーラも、BMI(ボディマス指数:人の肥満度を表す体格指数)が軽度肥満との境界線に近い人が被験者だ。
過度の期待は禁物
生活改善のきっかけに
では、トクホはどのような認識で使うのがよいのだろうか。
国立健康・栄養研究所の梅垣敬三・情報センター長は、「乱れた食生活や運動不足を帳消しにしてくれる免罪符としてではなく、今の生活を改善する“きっかけ”として利用するのがベスト」だと言う。
健康への近道はない。トクホだからといって過度の期待は禁物だといえそうだ。