愛の誓い【結婚 その4】

「愛を誓い、誰かを幸せにしたいと思うこと。大切な人の幸せを自分自身の幸せにすること」――それは人間が感情をもつ生き物だからこそ成しうる行為なのだろう。だから「結婚は得にならない」というのは、人間としての幸せを追求するには程遠い考え方なのだ。
ソクラテスの最後の教えを聞いたサトルは、ある一つの誓いを立てた。

ギリシャ哲学の専門家による笑いあり涙ありのコミカル哲学ストーリー『ソクラテスに聞いてみた』を特別掲載いたします。

人生を幸せなものにするために

 それにしても、どうしてぼくは、結婚生活は面倒だなんて考えていたんだろうか。ソクラテスとの対話を経たいまとなっては、自分が何を思って『結婚はコスパが悪い』と言っていたのかさえ思い出せない。

 もちろん、仮にいま大切な人がいたとして、すぐにソクラテスの言う「愛」が実践できるかというと、それは難しいと思う。けれども、愛の誓いに価値があることはよくわかるし、誓いに忠実に生きられたら幸せだということも理解できる。

 それなのに、そんなあたりまえのことが、ついさっきまで、欺瞞のかたまりのように思えていたのだ。ソクラテスは、ぼくの困惑を見透かしたように、にっこり笑って言葉を継いだ。

ソクラテス「親愛なるサトルくん、キミはたぶん勘違いをしていたんだと思う。さっきも言ったことだけど、自分のことを結婚から利益を受け取る受益者のように考えるのは間違いだ。人はむしろ、結婚を通じて、相手に幸せを与えられる人間にならなきゃいけない。

だから、考えるべき問題は、自分は結婚を通じて相手を幸せにできるのかということであって、結婚が自分に何をもたらすかということではないんだ。結婚で幸せになりたければ、まずキミ自身が相手のことを幸せにできる人間になるしかないんだよ」

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

あなたの「本当の考え」を引き出す、ソクラテス最強の「問答法」

この連載について

初回を読む
ソクラテスに聞いてみた

藤田大雪

ソクラテス(職業:ホームレス?)、イカの燻製を片手に人生を語る。「よりよく生きる」ためのコミカル哲学ストーリー。 27歳、彼女ナシ。マンネリ気味の毎日を送るサラリーマンの僕の目の前に、突然、ホームレスのような姿をしたソクラ...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

guriswest レヴィナスといい。大人になるってそういうことか。他の人を幸せにするひとに、俺はなる!(ワンピース風。読んだことないけど ;-p) 4年以上前 replyretweetfavorite

NJG_pr 友達、恋愛、仕事、お金、結婚。ソクラテスと人生を語るコミカル哲学ストーリー!| いよいよソクラテスとの問答も終盤に…… 4年以上前 replyretweetfavorite

luckyandrich1 https://t.co/zrFvOqh4qy 4年以上前 replyretweetfavorite

komachibypass コスパとか軽々しく口にするソクラテスからそんなん言われてもという気はするがw: 4年以上前 replyretweetfavorite