美しい魂こそが人を幸せにする【お金 その5】

金銭は価値を物質化したものだが使わなければまったく意味がない。他の価値あるものと交換するために手放す段階になって初めて、その価値を発揮する。
では、その価値を最大限に発揮させるには、どう使えばいいのか。
ソクラテスは一枚の絵を引き合いに、「お金をもっとも活かす使い方」を語っていた。

ギリシャ哲学の専門家による笑いあり涙ありのコミカル哲学ストーリー『ソクラテスに聞いてみた』を特別掲載いたします。

お金の「いい使い方」とは?

 いつのまにか、ぼくは自分が挑んだ勝負のことをすっかり忘れて、ソクラテスの話に魅了されてしまっていた。「人間の価値は『何を持っているか』ではなく『どう生きたか』によって決まる」という彼の主張は、当たり前のことを言っているようだが、見かけ以上に深遠な真理を語っているようにも思える。

 ただ、話の中身に完全に共感できるかというと、そんなことはなくて、腑に落ちない点もいくつか残っていた。ぼくは、その疑問を、どうしてもソクラテスにぶつけなければならないと思った。

サトル「ところで、ソクラテスさんはさっき『いい使い方』とおっしゃいましたけど、お金にしても、ほかのものにしても、自分のものをどう使うかは基本的に個人の自由ですよね? 要は、本人が使いたいと思ったことに使えば、それでいいんじゃないですか? そもそも『いい使い方』って何なんですか?」

ソクラテス「さすがサトルくん。いい質問だ。だんだん議論が核心に近づいてきたぞ」
サトル「そうでしょうか。ぼくにはむしろ、どんどん遠ざかっているように思えますが」
ソクラテス「まあ、そう言わずに聞いてくれ。いいかい、ぼくが考える『いい使い方』とは、大切な人のために使ったり、立派で美しいことのために使ったりする、そういうお金の使い方のことだ。そういう使い方ができない人は、いくらお金を持っていても不幸せだとぼくは主張する」

サトル「どうして?」
ソクラテス「なぜって、友達や恋人よりもお金のことを気にかけるような人のことを、キミは『幸せ』だと思えるかい?」
サトル「……いえ」
ソクラテス「じゃあ、自分の欲求を満たす以外になすべきことを持たない人はどうかな?」
サトル「それも、人としてどうかと思いますね」

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この連載について

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ソクラテスに聞いてみた

藤田大雪

ソクラテス(職業:ホームレス?)、イカの燻製を片手に人生を語る。「よりよく生きる」ためのコミカル哲学ストーリー。 27歳、彼女ナシ。マンネリ気味の毎日を送るサラリーマンの僕の目の前に、突然、ホームレスのような姿をしたソクラ...もっと読む

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コメント

yahoaho7 最後の絵の話では多くの人がはっとすると思う。そして最後の一文でキュンとせつなくなった><⇒ 3年以上前 replyretweetfavorite

NJG_pr 友達、恋愛、仕事、お金、結婚。ソクラテスと人生を語るコミカル哲学ストーリー!| ぜひ本書とあわせてお読みください!(^^)! 3年以上前 replyretweetfavorite