将来不安は投資で解消しよう?【お金 その2】

「物事の価値」は貨幣の誕生によって一義的に定められるようになり、そのうち「他人がどれだけ欲しがるか」によって大きく変わるようになっていった。
しかし、他人の欲に頓着せずにひたすら知識だけを追い求めているソクラテスは、サトルに経済の大切さを説かれてもまったく理解できないでいた。

ギリシャ哲学の専門家による笑いあり涙ありのコミカル哲学ストーリー『ソクラテスに聞いてみた』を特別掲載いたします。

ソクラテス「いったいキミは、どうしてそんなにお金の心配をしてるんだい? キミんちって、そんなに貧乏だったの?」
サトル「いや、さっき説明したように、べつに貧乏とかじゃなくって、リスク分散のために……」
ソクラテス「じつは、今日の仕事が順調にいけば、ちょうど350円貯まるんだ。ねえキミ、今晩どう? ぼくと一緒にウシノ家の牛丼を食べに行かない? もちろんぼくのおごりで。ちゃんと半分コにするし、ぜったい多めに食べたりしないからさ。だから元気出しなよ」

サトル「人の話はちゃんと最後まで聞いてください! ぼくはべつに貧乏じゃないですって。牛丼くらい、好きなときにいつでも食べられるんだから」
ソクラテス「牛丼がいつでも食べられるだって? 何を言ってるんだい。リュディア王クロイソスじゃあるまいし。冗談ならもっとうまく言いなよ」
サトル「冗談なわけないでしょ。ていうか、リュディア王クロイソスって誰なんですか?」

ソクラテス「あれ、キミ、リュディア王クロイソスを知らないの? リュディアっていうのは、じつに途方もない国でね。パン、宝石、土地、大工1日分の仕事といった異質なものの価値を、共通のものさしで量ろうと企てたんだ。そして、それを世界ではじめてやってのけた」
サトル
「はあ? いったい何の話をしてるんですか?」
ソクラテス「貨幣を発明したっていう話さ。この発明がどれだけ途方もないことだったか、キミは想像できるかい?」
サトル「いえ。まあ、すごいなあとは思いますけど」

ソクラテス「それはもう、法外にすごいことだよ。何しろ、貨幣が発明される前は、今日1日の労働が10年後に食べるパンに対してどれだけの割合の価値を持っているかなんて、誰もあえて考えようとしなかったんだから。

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ソクラテスに聞いてみた

藤田大雪

ソクラテス(職業:ホームレス?)、イカの燻製を片手に人生を語る。「よりよく生きる」ためのコミカル哲学ストーリー。 27歳、彼女ナシ。マンネリ気味の毎日を送るサラリーマンの僕の目の前に、突然、ホームレスのような姿をしたソクラ...もっと読む

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Singulith >「品物の価値はすべて、人びとがどれだけそれをほしがっているかという観点で〜 一義的に量られ 〜それがどれだけ所有者の人生を豊かにするかという観点から決まる本源的な意味での価値は、すっかり忘れ去られ、打ち捨てられてしまった」  https://t.co/EO3yx1IFz0 4年弱前 replyretweetfavorite

NJG_pr 友達、恋愛、仕事、お金、結婚。ソクラテスと人生を語るコミカル哲学ストーリー!| ぜひ本書とあわせてお読みください!(^^)! 4年弱前 replyretweetfavorite