サトル、「打算の恋」に大いに怒る【恋愛 その1】

現代の恋愛は、男性には給料や勤務先の知名度が高さが、女性にはあふれる優しさと見た目の良さが求められ、打算と妥協の駆け引きを経て成立する。求められる条件を満たさない男女は、勝負の場に立つことすらできない。
「勝負できなかった側」の一人・サトルは、合コンで味わった屈辱と怒りをソクラテスにぶつけていた。

ギリシャ哲学の専門家による笑いあり涙ありのコミカル哲学ストーリー『ソクラテスに聞いてみた』を特別掲載いたします。

恋は近くにありて、遠いもの

サトル「くそっ! あいつら、人のことを見下しやがって。ちょっと見た目がかわいいからって調子に乗るなっての!」

 何の成果も得られず、くたびれ儲けに終わったどうしようもない合コンの帰り道、ぼくはめっぽういらだっていた。どうして合コンに来るのはあんな卑しい女しかいないんだ。やっぱり行かなきゃよかった! おや、あの白い布を身体に巻きつけた変なジイさんは……。

サトル「ソクラテスさんじゃないですか!」
ソクラテス「……おお! サトルくんか。ごきげんよう」

サトル「こんばんは。いま、なんか遠い目をしてましたけど、どうかしたんですか?」
ソクラテス「たいしたことじゃないよ。ただ家に帰れないだけさ」
サトル「いやいや、家に帰れなかったら大変でしょ。でも、まだ終電の時間じゃありませんよね? そう言えば、ソクラテスさんのご自宅はどちらなんですか?」
ソクラテス「アテナイのアロペケ区」

 この人のソクラテスごっこは本格的だなぁ。

サトル「……あの、この前お会いしたときからずっとこの公園にいるわけじゃないですよね?」
ソクラテス「いや、ずっといるけど。ほら、あそこに青くてシャカシャカした布でできたテントがあるだろ。そこに親切な男が住んでいてね、水飲み場の場所とか、食糧の調達方法とか、テントの作り方とか、いろんなことを教えてくれたのさ。おかげで生活上の問題はすべて解決できた」

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この連載について

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ソクラテスに聞いてみた

藤田大雪

ソクラテス(職業:ホームレス?)、イカの燻製を片手に人生を語る。「よりよく生きる」ためのコミカル哲学ストーリー。 27歳、彼女ナシ。マンネリ気味の毎日を送るサラリーマンの僕の目の前に、突然、ホームレスのような姿をしたソクラ...もっと読む

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NJG_pr ギリシャの哲人、ソクラテスと人生を問答するコミカル哲学ストーリー『ソクラテスに聞いてみた』藤田大雪|cakes(ケイクス)での連載は恋愛編に突入!| 4年弱前 replyretweetfavorite