結局、「本当の友達」とは何か?
ソクラテス 「ところで、友達を『善いもの』として愛するって、そもそもどういうことなのかな。キミはこれを理解できるかい?」
サトル 「うーん、なんとなくわかる気はするんですが、ちゃんと理解できているかというと、ちょっと自信がありません」
ぼくは首をひねって考え込んだ。
ソクラテス 「そうか。……ところでサトルくん、キミは誰かひいきにしている競技会の選手はいる?」
サトル 「競技会の選手? スポーツ選手のことですね。それならベタですが、野球のイチロー選手が活躍するとうれしいです。……ていうか、また話が飛びましたね」
ソクラテス 「いや、これでいいんだよ。それで、どうしてそのイチロー選手が好きなの?もしかして、彼が活躍するとキミが何か得をするのかな?」
サトル 「そんなんじゃありませんよ。純粋に応援してるだけです」
ソクラテス 「その『純粋に応援する』というのは、自分の損得と関係なく、ただ彼が優れたものであることを喜んで、彼が害悪を被ることを悲しみたいという意味かな?」
サトル 「なんか堅苦しい言い方だけど、そういうことです」
ソクラテス 「よし。そういうことなら、『善いもの』として愛するというのも、それと同じだと理解してくれ。つまり、誰かのことを自分の損得と関係なく愛すること。そして、その人の幸福を一緒に喜んで、もしその人に不幸があれば慰めたり、手助けしたりしてあげたいと思うこと。それが、誰かを『善いもの』として愛するということの意味なんだと」
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