イカの燻製がぼくの友達?【友達 その3】

一見簡単に思える「本当の友達とは何か?」という質問。しかし、安易な回答を返すと「ぼくの友達はイカの燻製と中学の時の先生」なんておかしなことになる――。サトルは、とんちんかんな展開を見せる問答に飽きてきたが、ソクラテスは本気でこれについて考えたい姿勢を崩していないようだ。
ギリシャ哲学の専門家による笑いあり涙ありのコミカル哲学ストーリー『ソクラテスに聞いてみた』を特別掲載いたします。

人生の成功は友人関係で決まる!?

 ぼくは「真実の友達は貴重でかけがえのないものだ」というジイさんの言葉を反芻してみた。そのとき、大学時代の知人が吐いたある言葉をふと思い出した。

サトル 「そうだ! 『本当の友達』と言えば、前に知り合いから聞いた話がありますよ!」
ソクラテス
 「どういう話? ぜひとも聞かせてほしいな」

サトル 「1年くらい前に、大学の同窓会に参加したんですけど、そのとき、小前研二っていうヤツがこう言ってたんです。『成功の秘訣は友人関係にある。オレは自分を成長させてくれるヤツとしか友達にならない』って。小前は嫌なヤツだし、あいつの言うことを認めるのはしゃくなんですが、でも、『友達は自分を成長させるものであるべきだ』って考えは、やっぱり的を射ている気がします。実際、あいつは学生時代からバリバリ人脈を作ってて、『バッキンゼー』っていう外資系のコンサルタント会社に就職してからも、その友人関係がすごく役に立ってるみたいなんですよ」

ソクラテス 「なるほど。キミとその小前くんとやらは、『友達とは自分を成長させてくれるものである』と考えるわけだね?」
サトル 「そのとおりです。お互いにとって有益な関係が築けて、しかもそれが長つづきするなんて、なんだかうらやましいじゃないですか。くそう、小前みたいな嫌みなヤツが友達に恵まれているのに、なんでぼくはひとりぼっちなんだろうなあ。世の中ぜったい間違ってるよ。そう思いませんか、ねえ、ソクラテスさん?」

ソクラテス 「さあ、どうだろうね。いずれにしても、小前くんをうらやむべきかは、彼が本当に友達に恵まれているかがはっきりするまでわからない。だから、どの道ぼくたちは、『友達は自分を成長させるものである』という仮説を吟味するしかないわけだ」
サトル 「吟味するまでもないと思いますけど。でも、どうやるんですか?」
ソクラテス 「こうやるのさ。サトルくん、キミがいま手に持ってるものは何? おいしいの、それ?」

 ジイさんは、ぼくの持っているつまみを指さした。

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この連載について

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ソクラテスに聞いてみた

藤田大雪

ソクラテス(職業:ホームレス?)、イカの燻製を片手に人生を語る。「よりよく生きる」ためのコミカル哲学ストーリー。 27歳、彼女ナシ。マンネリ気味の毎日を送るサラリーマンの僕の目の前に、突然、ホームレスのような姿をしたソクラ...もっと読む

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NJG_pr 友達、恋愛、仕事、お金、結婚。ソクラテスと人生を語るコミカル哲学ストーリー!| ぜひ本書とあわせてお読みください!(^^)! 2年以上前 replyretweetfavorite