真夜中のナポリタン

2016年まで生き延びた42歳のオッサンであるところの、ボク。1999年、ド底辺のお先真っ暗な二十代のガキであるところの、ボク。どっちもしょうもないけど、なんでだかあの頃が、最強に輝いて思える。夢もない、希望もない、ノーフューチャーなリアルに「最愛のブス」がいただけなのに――
フォロワー7万人超えのツイッター職人、燃え殻 @Pirate_Radio_ さんのいちばん長いつぶやきです。

 あんなに空いていたのに霞ヶ関からドドドと人がなだれ込んで、六本木駅で降りる頃にはまた満員電車のそれだった。降りるサラリーマンと降ろされたサラリーマンに研磨されながら駅に吐き出された。
 一駅、一駅、デジャヴのように繰り返される光景。ループしてるかのような毎日。スマホのゲームに集中しながらホームを歩いていたOLが、目をつむって、白線の内側にいた老夫婦にぶつかりかけた。スマホの充電が限りなく細い赤になっている。
 がんばれば報われるという信仰が蔓延する世界で、がんばっても微動だにしない日常を噛み締めている。ボクは改札を出て、階段を上がってアマンドの脇に出た。

 ハンドルネームしか知らないあの女の子から何日か前に届いていたLINEを開く。「ねえ、努力すれば夢って叶うのかなあ?」とだけ書かれていた。ボクは「その質問は、ナポリタンは作れるか? と一緒だと思う」と返信した。  
 送ったそばから既読になって「ん?」という言葉と、くびをかしげたパンダのスタンプが送られてきた。ボクは続けて「たぶん、手順を踏めば必ず近いものにたどり着くんじゃないかと思う」と送った。返信はまたしてもくびをかしげたパンダのスタンプだった。

 もし手順通りうまくできたとしても、たとえそれが失敗したとしても、問題はそれを誰と一緒に味わうかなんじゃないか? とボクは思っていた。
 ただ、その返信はもう打ち込まなかったけど。

 何から手をつければナポリタンができるのか見当もつかなかった1999年のボクは、性懲りもなくあのラブホテルのベッドに沈んでいた。このギリギリの国から彼女と避難するように、週に1度、円山町のあのラブホテルに身を潜めていた。ボクたちにとってあの場所は、現実から一時的に乖離できるシェルターだった。

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ボクたちはみんな大人になれなかった

燃え殻

2016年まで生き延びた42歳のオッサンであるところの、ボク。1999年、ド底辺のお先真っ暗な二十代のガキであるところの、ボク。どっちもしょうもないけど、なんでだかあの頃が、最強に輝いて思える。夢もない、希望もない、ノーフューチャーな...もっと読む

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tweet_starlight 今日もがんばっても微動だにしない 日常を噛み締めている。 きっと明日もそうだと思う。 夢の灯火を絶やさない為に明日も頑張ろう https://t.co/b159nIjN9E 3ヶ月前 replyretweetfavorite

byadenyo513 この、しっとりした空気感がとっても好きすぎます…(感想の語彙量) https://t.co/8oBOYYOj2d 3ヶ月前 replyretweetfavorite

kemonoz メロディーも、和音もないのに、 吸い寄せられる言葉の羅列 |燃え殻 ボクたちはみんな大人になれなかった https://t.co/JAnedi0xRG この吸い寄せられる感 A子さんの恋人、と同じ 3ヶ月前 replyretweetfavorite

akanokan611 これは最高にすきなものを見つけてしまった。#未終style https://t.co/9vxwz7lxZl 約1年前 replyretweetfavorite