会社を辞めるという決断
「あの、実は、大学院に合格したのですけれど……」
当時の勤務先である人材コンサルティング会社の社長に、大学院に合格したことを伝えたのは、合格して少ししてからです。いや、以前に「将来は大学院に行きたい」とは伝えていたのですが、具体的に相談はしていませんでした。
合格から入学まで半年あったわけですが、その間にゆっくり話しあうことにしたのです。社長との話し合いの上で、時間限定勤務という道も残していて、その方向で考えていました。
ただ……。フルタイムで働く仲間たちを前に、私だけ中途半端な働き方をするのは申し訳ないなと思っていました。そして、感情的なものを別にして、そろそろ会社を辞める時期かなと思っていました。というのも、執筆、講演、各種会議へのオブザーバーとしての参加など、会社の仕事の枠をこえた、私個人をご指名の依頼がどんどん増えていたからです。
私が参加して3年。手前味噌ですが、自分が参加することで売上も利益も伸びましたし、新たな顧客開拓、新規分野への参入もできましたが、そろそろ潮時かと思いました。アルバイトを入れて10名弱の組織で、私は組織に貢献していたことは間違いないのですが、一方で自分がいる意味とは何なのかと考えるようになっていました。会社の方向性と自分がややずれてきているなと感じる一方で、では、自分が会社の方向性を描けるかというとそうでもなく。これはそろそろ組織を出る頃かなと感じていました。
自分の今後について何度か話し合いましたが、ある日、打合せの中で、自然な流れで「私が辞めるのが、いいんじゃないですかね……」と伝えました。社長は実に自然な形で頷きました。
というわけで、会社を退職することになりました。もともと、会社に所属しながら通うつもりで受験していたのですが。ただ、これは実に自然な別れだと思っています。いままで3社に勤務(さらに1社出向を経験)しましたが、どの別れも実に自然な流れだったと思っています。別れが前向きなものでもあったので、これからについて不安よりも期待の方が大きい気持ちでしたね。
お金、時間、そして勉強!
自分にとってラッキーだったのは、会社を辞めても、同じくらいの年収がほぼ維持できるだろうと思われる他の仕事があったことでした。大学の非常勤講師や、書籍の執筆、連載など既に仕事が沢山決まっていたからです。スポットの講演、執筆も合わせると売上ベースでは、これまでと横ばいくらいになるのはほぼ確定的でした。これは会社を辞めてフリーランスになる際の教訓でもありますが、次の仕事が決まっていた方が安心なのは言うまでもありません。