いまでも探偵か陰陽師になりたいです」と、戦国武将は言った

2014年、『ニルヤの島』で第2回ハヤカワSFコンテスト大賞を受賞しデビューしたSF作家の柴田勝家さん。新作『クロニスタ 戦争人類学者』の発売を記念して、読者の皆様からの質問&柴田さんの回答を連載!


柴田勝家(しばた・かついえ)
1987年東京都生まれ。成城大学大学院文学研究科日本常民文化専攻所属。
外来の民間信仰の伝播と信仰の変容を研究している。戦国武将の柴田勝家を敬愛する。


Q.柴田先生とSFとの出会いはどのようなものでしたか?また、小説をお書きになろうとしたきっかけを教えてください。(エシンさんからの質問)

A.ワシが最初に出会ったSFは何かと考えると、色々と悩みますね。それこそ小学校の図書室に並んでいるような、『宇宙戦争』『海底二万里』なんていう古典中の古典に出会ったのが最初で、次はやっぱりアニメや漫画だったと思います。ただどれも「これはSFだ」っていう意識を持って触れてはこなかった気がします。

 明確にSFとして作品に接したのは、高校生時代に読んだ『幼年期の終わり』でした。そこからディックやハインライン、アシモフといった有名なものを読んでいき、一方で同時期にジュヴナイル作品というものを知って積極的に読んでいました。単に周囲の人達がラノベを読んでいるのを見て、自分はその原点を探ろうとジュヴナイルに手を伸ばした感じです。特に眉村卓先生光瀬龍先生の作品を多く読みました。そういう意味で、SFとの最初の出会いは高校生時代だったと思います。

 小説を書くきっかけですが、これは京極夏彦先生の本を読んだことで色々と影響を受けたんだと思います。小学生の頃から妖怪が好きで、その流れで必然的に京極先生の作品を手に取り、どんどんと読み進めました。そうして小説の凄さというものを知り、その頃からワシは文章を書くことに意識的になって、いくつか雑文を書き残すようになりました。今でも当時のアイデアを見返すこともあります。

 ちなみに京極先生の京極堂シリーズは中二病時代に直撃だったので、ワシの将来の夢を決定的にしたものです。神主になりたくて國學院大学を受験し(神道学部は一応受かってました)、民俗学者になりたくて成城大学を受験しました。今でも探偵になりたいし、陰陽師になりたいです。でも京極作品に登場する小説家ってロクな目にあってないんですよね。


Q.柴田先生の人生の転換期みたいになった本は在りますか?また、小説を書くにあたってモチベーションの維持の秘訣なんかがあったら教えて下さい!
あとガチャでSSRを出すコツも…… (ササハラさんからの質問)

A.転換期になった本はいくつかあって、それこそ伊藤計劃さんの『虐殺器官』はいつも言ってるんですけど、今回はそれとは別に、ワシにとって重要な作品である諸星大二郎先生の本について答えたく思います。

 中学生の頃、講談社の〈メフィスト〉を読んでいたワシは、そこに掲載されていた諸星先生の『稗田のモノ語り 魔障ケ岳』という作品を読み、一気にファンになりました。それから『暗黒神話』『孔子暗黒伝』の二つを読んだのが、作品を書く上で一番大きな指針になったと思います。以前の質問でも答えたんですが、『ニルヤの島』は諸星先生の『生物都市』の雰囲気で書きたくて、なおかつ世界観としては『マッドメン』『海神記』の影響を受けています。

 小説を書く時のモチベーションの維持に関しては、上とも繋がるんですが、自分の好きな作品を読むことだったりします。小説だと文体やらが好きすぎて混じってしまうので、なるべく漫画を読むようにしています。諸星大二郎先生や星野之宣先生の作品、あとは山口貴由先生野中英次先生の漫画、それにまんがタイムきららのドキドキ☆ビジュアルコミックス……。こういう作品を小説で表現したい、と改めて思っています。

 あとガチャでSSRを出すコツは、完全に物欲を消すことですね。ワシはこれで高垣楓さんが来なかったです。


Q.メイドカフェで執筆作業をするのが最高とのことですが、柴田さんにとって最高のメイドカフェの条件とはどのようなものですか?(ユキシゲゼンニさんからの質問)

A.メイド喫茶で執筆する時はね、誰にも邪魔されず、自由で、なんというか救われてなきゃあダメなんだ。独りで静かで豊かで……。

 なんて、いやいや冗談冗談。実際はメイド喫茶というのは、すごく人に気遣いをしてくれる場所でして、誰かが作業をしていたら邪魔をしないようにする一方で、ふと疲れた時にはさりげなくメイドさんや、他の仲の良い常連さんが話しかけてくれたりするんです。そういう訳で、根を詰める作業もでき、なおかつリフレッシュしようと思えばいつでもできるような場所でもあります。

 そんな中で、最高のメイド喫茶の条件といえば、何よりも居心地の良い空間であることですね。これはそういうコンセプトのお店も最初からありますし、逆にどれだけ騒がしくても、お店の人が全員顔見知りだったりすれば、それだけで十分に居心地が良いと思います。メイド喫茶に多く行くようになって解りましたが、単に可愛いメイドさんと話すだけの空間ではなくて、多くの人と出会い、語らうことのできる、コミュニケーションの場ということが大事だったんですね。

 ちなみにワシがよく行く戦国メイド喫茶は、戦国武将の娘がお給仕しているという設定なんですが、どういう訳か柴田勝家の娘はいません。なんでだよ!



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クロニスタ』刊行記念 柴田勝家Q&A

柴田勝家

2014年に『ニルヤの島』で第2回ハヤカワSFコンテスト大賞を受賞してデビューしたSF作家の柴田勝家さん。今月24日に新作『クロニスタ 戦争人類学者』が発売することを記念して、読者の皆様から柴田さんへの質問を募集します。質問が採用され...もっと読む

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コメント

tilifiyal わたくしのアホみたいな質問が採用されておりました。びっくりぽんや…って、「あさが来た」観てないけど。→ 3年以上前 replyretweetfavorite

kawahaya 柴田勝家先生おかしいw 3年以上前 replyretweetfavorite

Hayakawashobo 妖怪とメイド喫茶を愛する新鋭SF作家の人生を変えた1冊とは? 本日更新。『クロニスタ』ネタバレありの質問もメールでなら大歓迎です。 3年以上前 replyretweetfavorite

uRavator 権六そっくりやん、会ったことないけど。 3年以上前 replyretweetfavorite