軍事技術をグローバルビジネスへスピード展開
このところは、ビジネス目的以外にも「一度も行ったことがない」国に行くのが、楽しみのひとつになっている。アジア諸国や欧米など、ある程度は予想できる変化とは違い、予想のつかない異種の出会いを体験できるので、面白い。
人口:821 万人(世界93 位)、GDP:3056億ドル( 世界37位)、 一人当たりGDP:3 万7222ドル(世界26 位)
2014年の秋、イスラエルを訪ねた。トルコ航空に乗り、イスタンブールのトランジットを経て、首都テルアビブに到着。空港は質素なつくりで、共産圏でも欧米でも中東でもない、不思議な雰囲気だった。
イスラエルは、中東のシリコンバレーとも呼ばれる、知る人ぞ知るベンチャー立国だ。スタートアップの会社が多く、最初から世界市場を見据えている。国民数は800万人程度と少なく、国内のマーケットは限られている。なのでサービス設計は最初からグローバルじゃないと、成り立っていかない事情もあるのだろう。
テルアビブでは某軍事産業系の会社を訪れたり、ベンチャー企業の支援を行っている会社サムライインキュベートのオフィスで現地企業とミーティングしたりした。
イスラエルは1948年の建国以来、戦争に見舞われ、政情は安定しているとは言えない。そんな中、起業率は7割を超えるらしい。これは国民気質が関係している。
イスラエルのユダヤ人は、永らく迫害を受けてきた。システムの中に入れなかったため、独立してやっていくしかなかった。そこで金融業を発明したり、国家や組織に頼らないで生きていく思想が根づいたのだと思う。特殊な歴史を反映してか、自立してどんどん海外へ出て行こうという、意欲的な起業家が目立った。もちろん失敗する人もいるのだけど、あんまりクヨクヨしない。すぐに新しい会社をつくり、2、3000万円を調達してきたりする。この立ち直りの早さには感心した。
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