海外に行かない=ダメではない—ヤマザキマリ×堀江貴文[4]

今でも大変な勢いで世界進出を続けている日本のコンビニエンスストア。現在イタリアに住むヤマザキマリさんは、日本の食費の安さとコンビニご飯のクオリティに驚くのだそうです。そんな日本の食事情から堀江貴文さんが考案した究極に合理的なビジネスとは? また、海外にあまり出たがらなくなった若い世代を、おふたりはどのように考えているのでしょうか。
早くも5万部を突破した『君はどこにでも行ける』の装画を手がけたヤマザキマリさんとの、書籍にも収録された対談のノーカット版、最終回です。

世界に広がる日本のコンビニ

ヤマザキマリ(以下、ヤマザキ 確かに、ヨーロッパから日本に戻ると、本当、食費がかからないなぁと思います。コンビニの食べ物のクオリティが、ものすごく高い。おにぎり1個が、とんでもないぐらい美味しい。

堀江貴文(以下、堀江) コンビニの進化は止まりません。以前、「コンビニはやがて居酒屋化する」と言ったら、そんなわけないだろう! と炎上してしまいました。

ヤマザキ でも、なるんじゃないですか?

堀江 もう、なってますよ。イートインコーナーのあるコンビニでは、夕方7時ぐらいからサラリーマンがビールとつまみを買って、晩酌しています。あれは次代の風景ですね。下手な居酒屋に行くより、飲食品の種類も店内の雰囲気もいい。チェーンの居酒屋に行くなら、焼酎とカクテル選び放題のコンビニの方が快適に過ごせますよ。
 僕は実際、地方都市に仕事で行ってろくな飲食店が見つからないと、セブンイレブンで買ってきたお総菜と酒で、ホテルでひとり飲みします。それで充分、満足できます。

ヤマザキ 出張先で普通にお腹を満たすぐらいなら、いいですよね。

堀江 僕、ちょっと考えたビジネスがあって。スーパーの総菜売り場の横に、居酒屋をつくったら儲かりそうだなと。自分で直接行ったわけじゃないですけど、アイディアの原型となる店が存在します。大阪の人気飲食店があるんです。
 和洋中すごいおいしい料理が次から次へと出てくる。全部美味しくてレベルが高い。ただしコース料理のみなんですよ。その場でのオーダーは受け付けないという、変なシステム。まあ別に美味しいからいいかと。だけど知り合いが、こっそり厨房を覗いてしまった。
 すると料理設備はほとんどなくて、電子レンジが置いてあるのみ。その店の料理は全部、近くのデパートの総菜コーナーで買ってきたものを、盛りつけてチンして出していただけだったんです。

ヤマザキ わー、すごい話ですね。シェフの人件費がかからない!

堀江 究極に合理的な飲食ビジネスですよね。高級スーパーとかデパ地下で売ってる総菜って、レベルがすごいじゃないですか。で、絶対に売れ残りが出る。それを割引いた値段で仕入れて、安価で出す居酒屋をやったら一番儲かります。

ヤマザキ めっちゃ行きたい(笑)!

堀江 飲食業種のいくつかの規制がクリアされれば、すぐ始められますよ。コンビニのイートインコーナーは、そういう合理的なビジネスの先駆けでしょうね。
 コンビニの質は今後さらに上がっていきます。いまはドトール並みのコーヒーとミスタードーナッツ張りのドーナツを売って、大ヒットしてますよね。次はオリジナルの牛丼を売り出すと見ています。

ヤマザキ どんどん便利になりますね。24時間、安全で質のいいものを売ってくれる。安全で快適なコンビニは、日本という国の安心感の象徴かもしれない。

堀江 日本のコンビニは、大変な勢いで世界に広がっています。アメリカのセブンイレブンも、日本のセブンイレブンの傘下になりました。もうアジア圏は、日本のコンビニのシステムで一本化されていくでしょう。
 イタリアとかヨーロッパは、規制が厳しいので、難しいとは思いますが。

ヤマザキ 24時間空いてる店は、労働基準法でダメなんですよね。イタリアだと昼寝の時間が取れない職場なんて、許されないっていう。

堀江 なるほど。

ヤマザキ でも、イタリアにもコンビニの原型みたいな店が出てきました。24時間ではないけれど、けっこう遅くまで、休み時間なく空いています。北イタリア地方に多いですね。お昼ご飯も立ち食いで過ごすビジネスマンもいます。すこし昔だったら、ありえない。
 南イタリアはまだ牧歌的というか、お昼は自宅に帰って、家族と一緒にシエスタを過ごす文化が残っています。だから南イタリアは経済が動いてないんですよ。それで北と南の格差が、広がってます。

堀江 なるほど。イタリアでもグローバル化の波は着実に浸透していると。

ヤマザキ 日本のコンビニは便利だから広まってもいいと思いますが。外の文化がどんどん入ってくる、グローバリゼーションの陰の部分も、たしかにあるでしょう。

内向きに閉じていくと超新星爆発が起こる

ヤマザキ 日本人の若い世代は海外に出なくなったと言いますけど、堀江さんと話していると、別に誰でも彼でも無理に出て行かなくてもいいんだと、あらためて思います。

堀江 内向きを悪い風にとらえすぎているんです。みんな行こうと思ったらいつだって外に行ける。だから、別に出ていきたい人は、行けばいい。だからといって、内向き=ダメという思考停止は良くない。内向きのどこがまずいのか? ということを考えないと。

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僕らはどこにでも行ける

堀江貴文

発売前から販売ランキングの上位に入り、重版が決定するなど大反響を呼んでいる堀江貴文さんの著書『君はどこにでも行ける』。出所から2年半の間に世界28カ国58都市を訪れた堀江さんが、海外での暮らしやビジネスに縁がある人を迎え、国境にとらわ...もっと読む

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コメント

nephroticsyndro あとで読む https://t.co/F9O2f2TmEx 11ヶ月前 replyretweetfavorite

BOtouchbo 海外行ったことないですね〜 1年以上前 replyretweetfavorite

pochakawanon うつ病も、内に閉じたあとブレイクスルーを起こす。薬漬けにならなければ。 1年以上前 replyretweetfavorite

HarohelloHello コンビニで牛丼食べられるようになったら、吉野家から足が遠のくな(*´▽`*) 1年以上前 replyretweetfavorite