ミニスーパーチューズデーの勝者は、5州すべてを勝ったヒラリー、1州をのぞきすべての州で勝ったトランプ、地元オハイオ州でトランプを破って面子を保ったケーシックだった。
民主党はヒラリーの勝利が濃厚
3月15日の結果は、民主党では、前回の私の予想どおり、フロリダ、ノースキャロライナは早いうちにヒラリーの当確が決まった。 懸念のオハイオ州もヒラリーが予想以上の差をつけて勝利した。「イリノイとミズーリが接戦」という私の予想も当たり、イリノイでの得票差はわずか1.8%。ミズーリでは、勝敗を分けたのは、たったの1500票だった。ただし、接戦の結果勝ったのがサンダースではなく、ヒラリーだったが。
民主党の3/15の得票結果 ※赤文字が勝者
「勝者総取り(winner-take-all)」のシステムがない民主党の場合には、得票率により代議員をふりわけてもらえる。だから、スコアのうえでは、イリノイとミズーリは「引き分け」とみなしていい。サンダースにとって痛手なのは、本選で重要なフロリダとオハイオでヒラリーが大差で勝ったことだ。
たとえば、全米で最もリベラルな州として知られるマサチューセッツでは、誰が候補になろうとも民主党候補が必ず勝つ。州知事だったミット・ロムニーですら大統領選ではマサチューセッツで勝てなかったくらいだ。
こういった民主党が強い州は、「青い州」と呼ばれ、共和党が強い州は「赤い州」と呼ばれる。だが、フロリダとオハイオは、民主党と共和党の勢力が拮抗している「紫色の州」なのだ。しかも、人口が多いので獲得できるスコア(選挙人の数)も多く、これらの州が大統領選の結果を左右すると言ってもおおげさではない。
2015 Senate party membership by state.
ヒラリーがフロリダを取ることは誰の目にも明らかだったが、ミシガン州で奇跡の大勝利を収めたばかりのサンダース陣は、「オハイオでも勝つ」と豪語していた。オハイオで勝てば、「サンダースは本選で勝てる候補だ」ということをアピールできたのだが、その機会を逸したわけだ。
これまでの代議員の数では、以下の表のようにヒラリーとの差がどんどん開いており、逆転の可能性はほとんどなくなりつつある。この結果を念頭に、オバマ大統領も背後で「ヒラリーを候補に決めて、民主党を統一させよう」と呼びかけ始めたようだ。
現時点の代議員数の総計(指名候補になるためには、過半数2383が必要)
しかし、サンダースは7月の党大会まで戦い続けるつもりだし、ヒラリーのほうも「ドロップアウトするべきだなんて、私は決して誰にも言わない」とテレビ番組の質問に答えている。私も、サンダースは心ゆくまで戦い続けるべきだと思っている。
それに、3月22日に予備選があるアリゾナ、アイダホ、ユタは、すべてサンダースに有利な州であり、接戦が期待できる。4月5日のウィスコンシンでも、勢いさえ失わなければ勝つ可能性がある。サンダースが抱える問題は、それらの州で勝ってもたぶん接戦の上なので、獲得できる代議員の数で劇的な挽回が望めないことだ。しかし、勝利を積み重ねれば、戦いの士気をかきたてる効果がある。
共和党はトランプの圧勝とケーシックの浮上
さて、次は共和党の結果を見よう。
共和党の3/15の得票結果 ※赤文字が勝者、黄色地が勝者総取りの州
「オハイオはケーシック、その他はトランプ」という私の予想は当たり、ひとつの州も勝てなかったクルーズとルビオにとっては辛い日になった。
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