最近日が延びて、パリでも夕方の6時くらいまで明るくなってきました。これから夏に向けてお日様がでている時間がどんどん長くなり、夜の9時、10時くらいまで日が暮れないようになります。
そうすると、セーヌ川の川べりや公園で散歩したり、ピクニックする機会が増えてきて、ついつい、遊びすぎてしまうんですよね。
今回は、前回に引き続き、私がパリで暮らすなかで見聞きした、フランス人のワイントリビアをいくつかご紹介していきたいと思います。
フランス人の夕食前の楽しみ「アペロ」
みなさんは、フランスには「アペロ」という習慣があるのをご存知ですか?
夕方過ぎになると、よく仕事帰りのパリジャンたちが、ワインボトルを持って歩いている姿を見かけることがあります。彼らは、友人や恋人たちと「アペロ」の待ち合わせに向かっているのです。
アペロとは「Apéritif(アペリティフ)」という言葉の略で、日本語では「食前の一杯」といったところ。夕食前にお酒を一杯飲みながら、オリーブやスナックなどのおつまみを食べ、気心知れた仲間同士で楽しくおしゃべりをするのです。
集まる場所は、お店や自宅など様々ですが、だんだんと暖かい季節になってくると、夜遅くまで照る太陽の光を浴びながら、セーヌ川の川辺でアペロを楽しむ人が増えてきます。
みなワインを楽しむ傍らで、ある若者はギターを弾き、カップルは人目をはばからずキスに夢中になり、ご老人はただパリの景色を眺め、思い思いの夕方を過ごしています。
アペロは、フランス人の生活に欠かせない、ワインの楽しみ方の定番のひとつなのです。
フランスのワインの相場
こんなふうにパリのアペロはロマンチック感満載ですが、野外でのアペロが多い理由として「安くあがるから」というのがあります。
パリの絶景を楽しむのはタダだし、5ユーロ(約600円)もあれば、スーパーでそこそこのボトルワインが選び放題です。さらに、ワインの他にチーズやハム、パン屋で焼きたてのバゲットを一本ほど買えば、立派なアペロの食卓のできあがり。
日本で「フランス・ワイン」というと、それだけで衿を正さねばいけない高級感漂うイメージがありますが、フランス人にとってのワインは、日本人にとっての「ビール」くらいのカジュアルなお酒なんです。
パリの平均的なレストランで飲むワインであっても、お値段はグラス一杯5ユーロ前後から。
ワインには産地、銘柄、気候による当たり年があるため、高級品も存在するのはみなさんご存知のとおりですが、そういった高級ワインは、フランス人にとってもあくまで特別な日のためのもの。誰もが気軽に手を出せる代物ではありません。このあたりの感覚は、フランスも日本も変わらないんですね。
40年もののワインの味は?
私も、高級ワインを取りそろえる、星付きの高級レストランにはほとんど行ったことがないのですが、実は一度だけ、40年もののビンテージワインを飲んだことがあります。
それは、旦那さんの実家でのことでした。家族が集まって昼食が進むなか、義母が埃まみれのワインボトルを地下から持って上がってきたのです。
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