本谷有希子 後編「イヤな人のほうが、愛嬌がにじみ出るところはある」

19歳で最初の脚本を書き、20歳で「劇団、本谷有希子」を立ち上げた本谷有希子さん。その活動を休止し、苦難を重ねた末に書き上げた『異類婚姻譚』が今年1月に芥川賞を受賞しました。後編では、夫婦について書かれたこの作品がどのように生まれたのかを聞きました。

芥川賞を受賞した本谷有希子さんの記者会見のなかでひときわ光っていた言葉は、

人物を愛して書こうとはいつも心がけている

というもの。ああ、それが秘密だったんだと気づく。本谷作品では主要な人物が、自分自身や身近な相手に激しくかみつくことが多い。内心に渦巻くドロドロとしたものを存分に吐き出す。

なぜそういうことが可能なのか。不思議だったけれど、作者が人物へ注ぐ愛あればこそ、ひどい話をすんなり受け入れられるんじゃないか。

 ひどいことを言う人物に共感できるのは、読む側の人のなかにちょっとでも、その人物と同じ要素があるからじゃないですか。ひどいことを言ってしまう気持ちが、どこかでわかるというか。または、そのひどいセリフは自分が言いたいと思っているセリフで、それを代弁してくれてすっとするのかもしれない。逆に、自分のなかにあるイヤな部分が見えてしまうから、わたしの書く人物がどうしても受け入れられないという人もいるだろうと思います。

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異類婚姻譚

本谷 有希子
講談社
2016-01-21

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文学者の肖像

山内宏泰

文学とは、なんなのか。文学者たちは今をどうとらえ、いかに作品に結実しているのか。言葉に向き合う若き作家たちの「顔が見える」インタビューシリーズです。

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consaba インタビュー・ 1年以上前 replyretweetfavorite