柴田勝家(しばた・かついえ)
1987年東京都生まれ。成城大学大学院文学研究科日本常民文化専攻所属。
外来の民間信仰の伝播と信仰の変容を研究している。戦国武将の柴田勝家を敬愛する。
Q.まずは改めて、ご自身と新作『クロニスタ』のご紹介をお願いします。
A.ワシが柴田勝家じゃあ! と、こんな調子で名乗っておる訳ですが、至って真面目にSF作家をやっております。第2回ハヤカワSFコンテストを『ニルヤの島』で受賞させて貰い、一昨年にデビューと相成りました。その時に紆余曲折あったものの、ワシの容姿と振る舞いを認めて貰い、投稿時のまま「柴田勝家」で執筆活動をすることができました。より勝家になれるよう今後も頑張ります!
そして新作の『クロニスタ』ですが、これは去年に出た『伊藤計劃トリビュート』の中の一編「南十字星」から続く長篇になっております。物語としては、南米のアンデス山脈を舞台にした軍属の文化人類学者の話です。『伊藤計劃トリビュート』に載ったこともあり、伊藤計劃さんの『虐殺器官』と『ハーモニー』を意識しています。前作の『ニルヤの島』は、思弁的な作品のイメージが強かったので、今回は軍事アクションSF、冒険物というジャンルで書こうとも思っていました。
内容については、刊行後に話すことになると思いますが、今はこれだけ。
金髪の少女とアンデスを旅するロマン! え、ダメ?!
Q.柴田勝家としてデビューして、実生活になにか変化はありましたか? (前田利家さんからの質問)
A.柴田勝家として生きていて、目下、悩んでいることといえば家に届く郵便物に大きく「柴田勝家」と書かれていることですね。郵便局員の人も大変だと思います。この家に「柴田勝家」が住んでるのかとか不安になると思います。無礼討ちとか怖いですからね。もちろん柴田勝家と知って訪ねられるなら、武辺の嗜みとして茶の一杯でも出したいのですが、今度は生憎茶室が無くて……。
普段の生活に関してはあまり変化はないです。前の質問にもかかりますが、大学生の頃から「柴田勝家」を名乗って生活しており、在学中は友人連中、それに教授達からでさえ勝家として認識して貰えていました。多分、本名の方で名乗ると誰だか解らないやつです。
というか、誰かと思ったら質問者・利家じゃないか! その内、賤ヶ岳的なのあると思うけど、秀吉とは仲良いだろうから、無理して戦わなくていいぞ。
Q.映画はお好きですか? 影響を受けた映画がございましたら、教えてくださいませ!(白雨さんからの質問)
A.実はワシはあまり映画は見ない人間で、世間の作家さん達と比べたら全然映画的素養はないやつです。それでもいくらか気に入ってる作品もあり、あえてマイナーどころを上げるオタク的行為をすると、西村喜廣監督の「東京残酷警察」が好きです。エログロでゴア表現が多いのでオススメしにくい作品ですが、作中の霊柩車型パトカーとか、CMだとか小物や小ネタのセンスが大好きですね。それ以外では今敏監督の作品や、押井守監督の「劇場版パトレイバー」シリーズや「攻殻機動隊」シリーズが好きです。
ここで挙げた映画で共通していて大好きなところは、異様なものが沢山詰まったビジュアルかもしれません……! 影響を受けている部分は、やはりそういった異質さを詰め込むところでしょうか。ちなみに人生で初めて見た映画は「REX 恐竜物語」でした。
Q.「艦これ」で好きな艦娘は誰ですか? そのキャラで小説を書けるとしたら、どんな話にしたいですか?(けーじさんからの質問)
A.よっしゃあ! 「艦これ」の質問じゃい! そんな思わず取り乱す質問をありがとうございます。
好きな艦娘ですが、今回の『クロニスタ』の表紙やらも踏まえて答えれば、利根と羽黒が好きです。しかしながら、到底一人に決めることもできぬ難しい質問。第六駆逐隊の子らも金剛型も大好きです。空母だってドイツ艦だって大好きです。
それでもあえて一人を選ぶとしたら、「艦これ」を始めて一番初めに好きになり、そして最後まで建造で出てくれなかった彼女……。
そう、雪風です!!
あの脳が湧く感じの台詞と声に、特徴的な小動物的ビジュアル。青島のフィギュアの出来も満足してますし、タミヤの1/350の模型も作りやすくて好きです。キャラとしての魅力はもちろんですが、艦船としても、復員船として水木しげる先生を載せた経歴など感じ入るものがあります。水木しげる記念館に飾られた雪風の模型が涙を誘います。
小説を書くとしたら、SFでも取り上げたいのですが、歴史的に戦後に中華民国の「丹陽」として活躍した時代を描きたいですね。改二ずっと待ってます。
しれぇ!