日本では、そろそろ桜の開花情報が気になるころでしょうか。今年暖冬だったフランスでも、気の早いマロニエの木の新芽がはち切れんばかりにふくらみ、春を待ちこがれています。
お花見の席だけでなく、送別会や歓迎会など、お酒を飲む機会が増え、新しい出会いや別れの季節でもある春。
今回は、フランス人の生活とは切っても切れないお酒「ワイン」を通して見えてくる、フランス人の人生哲学についてご紹介します。
フランス式、乾杯のお作法
まずご紹介したいのは、日本では意外と知られていない、フランス式の「乾杯」についてです。
日本だと、その場に集まった全員がグラスを宙に掲げ、いっせいに乾杯するのがメジャーですよね。ところがフランスでは、必ずその席に居合わせた全員が、一人一人と乾杯をします。
そうなると当然、乾杯ラッシュがおきるわけですが、ほかに乾杯中のペアがいるときに、別のペアがその腕の上を交差して乾杯するのはマナー違反。
さらに、絶対に忘れてはいけないのは、「乾杯する相手と必ず目を合わせる」ということです。日本人の私はいまだに慣れず、なんだか照れくさくてムズムズしてしまうのですが、恥ずかしがらずにがっちりと視線を合わせなければいけません。
フランスでは、これをしないと「7年間いいセックスができなくなる」という言い伝えがあるほど、乾杯時に目を合わせないことはタブーとされているんです。
「いいセックスができない」にみる人生哲学
私がこの言い伝えなるものを聞いたのは、まだフランスに来たばかりのころだったので、「またまた〜。フランス流の、飲みの席での小ネタでしょ!」と笑って流していました。
しかし、その後フランス人について深く知っていくにつれ、だんだん「これはフランス人のコミュニケーションの在り方を、ずばり言い表している言葉だな」と思うようになりました。